内容説明
1996年2月に急逝した司馬遼太郎が、26年にわたり書き続けたエッセイ「街道をゆく」。深い親交のあった人々が語る作家・司馬遼太郎の魅力―。東西の道を共に歩んだ人々が明かす旅の本質―。時間と人間の営みの滔滔たる流れを見据えながら、絶えることなく読者を導いた渾身のライフワーク。
目次
1 南蛮のみち
2 司馬さんと私(「なつかしい人」(ドナルド・キーン)
「文化とはそんなもんや」(桂米朝) ほか)
3 風
4 司馬遼太郎の視点(司馬遼太郎の原点(鶴見俊輔)
「みち」に刻まれた日本人の歴史(向井敏)
「旅」から持ち帰ったもの(川村湊)
歴史小説、その初期からの新しさ(縄田一男))
5 鼎談・座談
6 中国・江南のみち
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つゆ
14
司馬遼太郎さんの小説はいくつも読んでますが、とてもエネルギッシュでほんとうに勉強熱心で、いつも日本の未来を憂いていたようです。 晩年は小説家というよりも、旅をしながらその土地を読んだものがシリーズ化していたのですね。 安直に土地の気候や特徴が人間性を決めるという判断はすべきでないけれど、その土地を集団で、世代を重ねて捉えたときに、そこに何らかの色があることは事実、との記載に妙に納得。2023/06/25
donky
5
『街道をゆく』シリーズのファンとして、この文庫を見つけた時、実に嬉しかった。著者の側にいて交友をしみじみと、そしてその博識ぶりと本質を見抜く眼力に感心し、時代を俯瞰する歴史家、小説家としての彼を証言する数々のエッセイ。とりわけ興味をひいたのは、【担当編集者が語る】若かった自分が終生のライバルだった、の座談でした。43集にわたるシリーズは、まさに司馬氏の「人生は旅」を現場報告してくれました。ジャーナリスト活動が文学であることを如実に証明した司馬さん、ほんとにありがとう。2019/08/30
まさにい
3
司馬さんを偲ぶ、多くの関わった人たちの言葉が集められている。共通して言っているのは、司馬さんの優しさである。司馬さんは、自分の思考方法を、これらの人々に継いでもらいたかったような気がする。しかし、司馬さんの発想力は、多くの(計り知れない量の)読書を元に、疑問を追及する点にあったように思われるので、そんじょそこらの知識では対応できないのだろう。現在、司馬さんを継げる人は磯田さんぐらいなのではないかと思っている。2022/01/28
つちのこ
0
朝日文芸文庫版。1997.10.11読了1997/10/11