出版社内容情報
小児科、訪問看護、後進育成、救急の各部署を担う、個性的で傑出した人物たちに焦点を当て、病いを得た人たちとのやりとりをリアルに再現--。都内有数の「特別な病院」を舞台にしつつ、医療と看護の原点を描いた『聖路加病院で働くということ』に、緩和ケア病棟での出会いと別れの新章を増補。解説=山根基世。
内容説明
日本有数の「特別な病院」にも不易の姿がある―。小児科、訪問看護、病院マネジメントと後進育成、救急のそれぞれの現場を見つめ、医療と看護の原点を描いた『聖路加病院で働くということ』(二〇一四年)に、緩和ケア病棟での出会いと別れの新章を増補。丹念な取材とやわらかな観察眼が結実したノンフィクション。
目次
1 小児科医を貫く―細谷亮太(祖父、父、母;ある事件 ほか)
2 とことん在宅―押川真喜子(お嬢さま、東京へ;保健師として ほか)
3 「看る」という仕事―井部俊子(恥ずかしがり;ナースの二つの道 ほか)
4 救急部の「キリスト」―石松伸一(産婦人科医の父;聖路加国際病院救急部へ ほか)
5 緩和ケア病棟一筋―高野真優子(死を意識する;「病気になったら」 ほか)
著者等紹介
早瀬圭一[ハヤセケイイチ]
1961年毎日新聞社入社。名古屋、大阪、東京社会部などを経て編集委員。退職後は龍谷大学、東洋英和女学院大学等で教える。著書に『長い命のために』(大宅壮一ノンフィクション賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Isamash
24
元毎日新聞編集委員のの早瀬圭一氏による2014発行書籍の文庫版。聖路加病院で働く5人に焦点を当てている。小児科医の細谷亮太、在宅看護師の押川真樹子、看護師の井部俊子、救急部の石松伸一、緩和ケア看護師の高野真優子で、比較的地味な部門に陽をあてていて好感を覚えた。一人一人の経歴も丁寧に取材していたのも好印象。セレブ御用達病院の印象が強い病院だがいち早く在宅医療に携わっていたのは少々驚き。また地下鉄サリン事件対応で評価されたが、石松医師という現場リーダーの存在とトップの的確な判断があったという成功要因を知った。2023/09/22
ねこ
10
2014年刊行の『聖路加病院で働くということ』(既読本)の内容に、緩和ケア病棟の看護師長にスポットをあてたエピソードと山根基世氏の解説をプラスした文庫。「(緩和ケア病棟では)毎日のように人が亡くなっていく(中略)あそこのの医師や看護師はどうやって心の平穏を保っているのだろう」(あとがきより引用)渾身の取材によるノンフィクションです。いつか必ず死ぬのなら人としての尊厳を保ったまま穏やかに死にたいものです。厳しい現場である緩和ケア病棟で働く人の気持ちが穏やかにありますようにと願うばかりです。2020/11/24
Kuliyama
3
義姉が緩和ケアを受け若くして亡くなったことがあり、手にしました。改めて、お医者様、看護師さん、患者の皆さまに頭が下がります。2021/10/31
マサカ
2
聖路加病院。 宣教医師が築地に作った診療所が始まりで、当初は診察料も安かった。 また、予防医学を日本で初めて取り入れた病院で、健康診断、人間ドック、訪問看護などの先駆けである。 現在は、一等地にそびえ立つ、富裕層をターゲットにした豪華な病院である。 ホテル並みの設備だから、お金持ちの人は、居心地のいい入院生活をおくれるに違いない。 そんな聖路加病院で働く、名物医師と看護師を物語仕立てで紹介した本である。 すばらしい方々だが、富裕層でない限り、無縁だ。 2023/04/28