出版社内容情報
大逆事件により29歳で刑死した管野須賀子。死を目前に胸中に去来する己の波乱の生涯。長編伝記小説。
内容説明
天皇暗殺未遂の罪に問われ、幸徳秋水らとともに死刑に処せられた管野須賀子。享年二九歳。数奇な生い立ち、社会運動へのめざめ、荒畑寒村との結婚、赤旗事件、幸徳との同棲、大逆事件、そして今は獄中に―。己を貫き恋と革命に生きた生涯が、死を目前にした須賀子の胸中に去来する。独白によって描く、渾身の伝記小説。
著者等紹介
瀬戸内寂聴[セトウチジャクチョウ]
1922年、徳島生まれ。東京女子大学卒。57年「女子大生・曲愛玲」で新潮社同人雑誌賞受賞。61年『田村俊子』で田村俊子賞、63年『夏の終り』で女流文学賞を受賞。73年に平泉中尊寺で得度。法名寂聴(旧名晴美)。92年『花に問え』で谷崎潤一郎賞、96年『白道』で芸術選奨、01年『場所』で野間文芸賞、11年に『風景』で泉鏡花文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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がんちゃん
3
寂聴節炸裂。男と女暑い。暑苦しい。表紙写真を見る限り、失礼ながら荒畑寒村や幸徳秋水その他の男性を惹き付ける魅力があるようには見えないのだが。この時代の状況は記憶しておかないと、また過ちをおかしますよ。併載されている「いってまいります。さようなら。」(大逆事件に連座した古河力作の獄中記)も面白い。解説の栗原康は伊藤野江の評伝「村に火を付け、白痴になれ」の作者。いろいろ興味深い。現代でも天皇に対する感情は同じのような気がする。おかしいと思う。2021/05/25
猫またぎ
2
大逆事件とは縁浅からぬ土地の住民としていいかげん本腰を入れて学ばねばならないと長年思いつつ。2023/04/25
ishii.mg
1
寂聴の主義者モノはすごいな。恋と革命、セックスとテロル。秋水も寒村も男はみんなダメンズだ。それにしても大逆事件、とんでもないフレームアップだったのだとあらためておもう。弁護士の平出修のことは知らんかった。あの時代に勇気ある弁論だった。2023/05/12