内容説明
なぜ諸葛孔明は日本人に愛されるか。三国時代の特質を踏まえ、劉備・曹操・周瑜らの人間像と『三国志演義』の作品世界の特質とをいかに読み解くべきか。正史『三国志』に精通し『三国志演義』の個人全訳でも著名な著者が、千数百年の歳月に育まれた比類なき物語世界の醍醐味と魅惑的な登場人物について、縦横無尽に描き出した快著。
目次
第1部(三国志の英雄たち―曹操と劉備;三国の組織構造;曹操と清流派―もう一つの三国志;曹操をとりまく女性たち;三国時代の詩人たち―曹操・曹丕・曹植;曹操姦雄伝説の形成;魏の諸葛一族)
第2部(周瑜伝;諸葛孔明;蜀の五虎将軍;関羽の部将;諸葛亮はなぜ蜀を選んだのか)
第3部(陳寿の「仕掛け」;民衆世界の三国志;湖南文山『通俗三国志』;日本人と諸葛亮;私にとっての『三国志』;乱世の群像―三国志の人々;三国志世界の末裔たち;三国志の美将たち―『三国志』から『三国志演義』へ)
著者等紹介
井波律子[イナミリツコ]
1944年生まれ。国際日本文化研究センター教授。専攻=中国文学。京都大学大学院博士課程修了。金沢大学教授を経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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えふのらん
3
三国志(演義)をふわっと補強しつつ国家から英雄に至るまで多角的に解説した本。正史、演義はもちろん、横山や吉川も補うもので副読本としても使える。内容は組織構造、英雄論、日本での受容の三本立てで、魏呉蜀のそれぞれの性質にはじめて、そこでの武将武官の役割、英雄たちの実績、性格とどんどん深堀する構成をとっていて非常に読みやすい。それなりに正史を意識してはいるが主要人物以外のことは殆ど出てこないので、そこのところも良心的だった。2024/09/12
miyatatsu
2
とても面白く三国志の魅力を再確認させる本でした。2016/04/22
やすかりし
2
中国史・中国文学に精通した著者ならではの、三国志解説書。「演義」よりも「史実」の世界についての記述が多い。2010/01/23
Skywriter
2
ちくまの正史三国志のうち、蜀書を訳した著者による三国志についての文章。正史にも演義にも目が行き届いており、正史における人物像の紹介から、三国志を社会がどう受け止めてきたか、まで幅広く論じている。演義で三国志に興味を持ち、正史に手を出してみようかな、という方には文句なしでお勧めしたい。2009/09/07
南瓜绅士
2
ある程度の知識がある人と知識をつけたい人にお勧め。正史と演義の記述が混載してるので初心者は大変かも。2009/07/23
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