出版社内容情報
古代イオニアのイソノミア(無支配)に、自由かつ平等な社会の起源をみる社会構成体の歴史刷新の試み。
内容説明
デモクラシーの理想とされるアテネの直接民主制は、実は自由ゆえに平等であった古代イオニアのイソノミア(無支配)再建の企てであった。イオニアの自然哲学をイソノミアの記憶を保持するものとして読み解き、アテネ中心のデモクラシー神話を解体する。『世界史の構造』を経て、社会構成体の歴史の起源を刷新する野心的試み。
目次
序論(普遍宗教;倫理的預言者 ほか)
第1章 イオニアの社会と思想(アテネとイオニア;イソノミアとデモクラシー ほか)
第2章 イオニア自然哲学の背景(自然哲学と倫理;ヒポクラテス ほか)
第3章 イオニア自然哲学の特質(宗教批判;運動する物質 ほか)
第4章 イオニア没落後の思想(ピタゴラス;ヘラクレイトス ほか)
第5章 アテネ帝国とソクラテス(アテネ帝国と民主政;ソフィストと弁論の支配 ほか)
著者等紹介
柄谷行人[カラタニコウジン]
1941年兵庫県尼崎市生まれ。評論家。東京大学大学院英文学修士課程修了。法政大学教授、近畿大学教授、コロンビア大学客員教授を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
呼戯人
20
柄谷行人の交換様式の研究のうち、特に交換様式Dを取り上げ、その発生からソクラテスの登場まで、交換様式Dとして登場してきた哲学の姿を描く。哲学の発生の背景には、ギリシア初期のイソノミア(無支配)があり、特にソクラテスは、ダイモーンなどギリシアの原古的な交換様式Aの回帰が見られ、それゆえソクラテスは死刑になったと推論する。パルメニデスやヘラクレイトスの解釈など、これまでの哲学史にはないような斬新な解釈が見られ、びっくりするような新しい哲学が語られている。2023/03/05
Yuri Sato
12
『哲学の起源』を読み終えて、 心の中で、ゆっくりと発酵していくような揺れを感じました🙂 著者は、古代ギリシャ・古代インド・古代中国の思想の芽生えを手がかりに、 哲学がどのように日常の断片や自然への観察から、 次第に体系的な思考へと凝縮されていったのかを描いています。 本書の語り口は、冷たい学術的なものではなく、 思想が生まれた瞬間の脈動―― 人々の疑問や迷い、好奇心、そして真理を求める不安まで、 実際に触れられるように感じさせてくれるのです🌿2025/08/02
またの名
10
民主主義によって平等な政治を発明したのではなく逆に骨抜きにして堕落させたアテネ、現実世界の外に超感覚的存在を創ったピタゴラスに乗り越えられたのではなくピタゴラスの非現実性を克服しようとしたパルメニデスとヘラクレイトス、師匠ソクラテスが回復した原理を否定するためにソクラテスを使う弟子プラトン。通説を次々ひっくり返して本書が明快に描き直す古代ギリシャの歴史は、僭主独裁から生まれ独裁を基盤にする民主主義が自由と平等を花開かせる過程ではなくむしろ滅ぼして隠蔽されていった、もう一つの自由平等の原理イソノミアの興亡。2020/10/18
月をみるもの
10
デモクラシーの、クラシーは「…の支配(力、権)」「…政治・政体」「政治階級」を表し、デモはデーモス(民衆)からきている。つまりは多数派が支配するのが民主主義ってことで、その限界はすでに2500年前には明らかになっていたのであった。共産主義が滅んだ後、イソノミアを求めたイオニアの哲学者・科学者たちを「継ぐのは誰か?」 世界が滅びる時に、懺悔の放送したくなかったら行動せんとな。 https://bookmeter.com/reviews/884906432020/04/09
いとう・しんご
9
41頁6行目「イオニアでは独立自営農民が主であり」といったのに12行目で「彼らは積極的に商工業と交易に従事」したと言ったり、43頁では「イオニアの諸都市(略)を示す史料はほとんどない」と述べて、訳分らない。これは哲学書ではない。著者がマルクスから受けた啓示を伝道し運動に接続するための福音書なんだ。啓示を求めて読むなら良いけれど、真理を求める人の役には立たないと思う。2022/11/22
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