内容説明
大銀行、大ブローカーが元締めをつとめ、密室の中の巨大なカジノと化した国際的マネーゲームが、今日の世界経済を牽引している。ルールなき資本主義の問題点とは何か。代替案として何が求められているか。本書はグローバル資本主義の背骨である国際金融システムの暗部を初めて解明し、九〇年代国際的通貨危機を予言した出色の一冊。
目次
第1章 カジノ資本主義
第2章 重大決定とその帰結
第3章 世界経済をめぐるさまざまな解釈
第4章 暗闇の中の賭
第5章 推測ゲーム
第6章 処方箋
第7章 カジノを冷やすこと
著者等紹介
ストレンジ,スーザン[ストレンジ,スーザン][Strange,Susan]
1923‐98年。LSE(ロンドン大学経済学部)卒業。エコノミスト誌、オブザーバー紙記者、LSE教授、欧州大学院大学(EUI)教授などを経て、ウォーリック大学教授。専攻=国際政治経済学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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日の光と暁の藍
5
原著出版は1986年。ストレンジは、国家と市場の関係に対する見方が現実的である。ブレトンウッズ体制の崩壊により、金の足枷がなくなったドルや世界の通貨は「国際貿易の伸びによって説明できる限界をはるかに超えた拡大」(17)を始めた。銀行による信用創造の規制はされても、非銀行の信用創造の規制がされていない例などを出し、技術革新は経済活動の拡大をもたらすが、金融業においてそれは「カジノ資本主義」の不安定性を増大させる。しかし、それすらも国家の政策が非決定によるものだとして、あくまでも国家の存在意義を強調している。2020/12/12
富士さん
4
勝手にルポ系の告発ものかと思っていたら、ガチガチにお堅い世界経済論でした。変動相場制の採用によってタガが外れたところに、国債増発によって投資機会が増え、だぶついたオイルマネーがそれを投機化した。そして、金融市場は安定が重要なインフラとしての役割から外れ、不安定になることによって丁か半かの博打機会を提供するカジノと化した。そんなところでしょうか。本書を読むと、同じように金融と称していても、経済の循環器としての役割とマネーゲームのプレイヤーとしての役割とは、来歴的に見ても発揮と異なると確信させてくれます。2024/05/05
ふら〜
1
各国の通貨、為替政策、それに対する金融機関や市場への影響。カジノに身を委ねているかのような不安定性。そのタガが外れないようにするのは国家の責任。この辺りの議論はもうちょっと学ばないといかんな…2023/05/05
saru
1
賭け事は資本主義以外でやってくれと2016/09/23
numainu
0
評価D2009/02/25