出版社内容情報
雲をつかむような少女失踪事件を、刑事たちが地道な聞き込みと推理、尋問で解き明かしていく。捜査の実態をこの上なくリアルに描いた警察小説の代表的傑作、新訳決定版!
内容説明
1950年3月。カレッジの一年生、ローウェルが失踪した。彼女は成績優秀な学生でうわついた噂もなかった。地元の警察署長フォードが捜索にあたるが、姿を消さねばならない理由もわからない。事故か?他殺か?自殺か?雲をつかむような事件を、地道な聞き込みと推理・尋問で見事に解き明かしていく。巨匠が捜査の実態をこの上なくリアルに描いた警察小説の里程標的傑作!
著者等紹介
ウォー,ヒラリー[ウォー,ヒラリー] [Waugh,Hillary]
1920年アメリカ生まれ。1952年に刊行した『失踪当時の服装は』で注目されて以降、地方都市を舞台にした警察小説を発表。2008年没
法村里絵[ノリムラリエ]
1957年、東京都に生まれる。女子美術短期大学卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
174
読友さんから頂いた本。1952年の作品だが、新訳で2014年刊行だから読みやすい。さて、ある日寮からいなくなった女子大学生を探すこの作品、本当にアメリカのミステリだろうかと思った。ハードボイルドとは違うし、ディーバーのような派手さや、刑事の苦悩と言ったものとも無縁。ひたすら淡々と失踪したローウェルの行方を追う。醍醐味は署長とキャメロン巡査部長とのやり取り。情に左右されず、まさにすべき事をしていく署長と、それをハラハラしながら補佐するキャメロンの二人の行動が最後の一言に繋がる。この決めゼリフが最高だ。2018/08/10
紅はこべ
143
当時のアメリカで163㎝、56キロの女子は痩せすぎと見られたのか。基準は時代で変わる。フォードとキャメロンはダルジールとパスコーを彷彿させる。部下の学歴が論われる点とか。本作の犯人は、ウォー作品ではお馴染みの性欲過多タイプだが、署長の言うような女たらしとは思えない。真の女たらしなら、そんな窮地には追い込まれない。署長以下刑事警官達は仲間内の時だけでも、被害者を呼び捨てにせず、ミッチェル嬢と呼ぶ。オースティンの小説世界みたい。2019/03/21
buchipanda3
99
警察捜査小説の先駆けと言われている作品。古めの作品だが新訳ということもあって読み易く、中身も今読んでも十分に面白かった。女子大生ローウェルが学生寮から唐突に失踪。自分の意思か事件に巻き込まれたのか。行方を捜す取っ掛かりが少ない中、署長のフォードの徹底ぶりが目を見張る。周りから誤解されそうな口調の強いタイプだが、読んでいくうちに彼の行動に惹かれていった。部下のキャメロンとの掛け合いもいい。僅かな手掛かりからの推理も見事だった。事件の締め括りに向けて読む手は止まらずラストも絶妙。著者の作品をもっと読みたい。2019/09/17
猿吉君
90
警察小説の元祖という事で心して読んだらフォード署長と部下の掛け合いが面白くて訳も良いせいかあっという間に読了、楽しめました。①とはいえ古典的な小説なので今の推理小説よりも全体的にあっさり目。②じわじわと捜査によって犯人像が明らかになっていくのは楽しめました。③いいムードになるにはお酒が必要、今も昔も変わらないのがちょっと危ない。点数80/100→読むと今の推理小説がいかに進化しているのかがよく判ります、でも複雑なのが面白いわけじゃない、奥が深いですねえこの世界は。2023/01/30
ひで📚🏈
87
『行って、スワードを捕まえてこい』次々に事件が起こる訳でもなく、銃撃戦がおこる訳でもなく…捜査が淡々と進むだけなんですが…面白い!!!逆に新鮮でどんどん読み進めました!警察捜査小説という新たなジャンルを確立した…との事。個人的には、『87分署シリーズ』あたりを再読してみたくなました!2016/06/09