出版社内容情報
文豪で軍医の、歴史上の天才? 「舞姫」って本当は何が書いてあったんだろう? 江戸時代の終わりに生まれ、明治の激動のさなかに勉強して留学し、自由恋愛を経験して、一人称小説を書くとはどういうことだったのか。その時代の感覚に立って、作品や資料を読み解けば、悩んで悩んで自分を探した、鴎外の横顔が見えてくる。
内容説明
文豪で偉い軍医だった、歴史上の天才?でも、若き森〓外には、そんな自分の将来はわからなかったはず。幕末に生まれて巻き込まれた明治の激動、「舞姫」の裏側にあった本当の恋愛、まだ近代文学の形が定まらないなかで賭けた文筆の道。その時代の感覚に立って作品や資料を読み解けば、自分探しに悩む〓外の姿が見えてくる。
目次
第1章 〓外少年の勉強―自分は何を学びたいのだろう?
第2章 〓外の恋と「舞姫」の事情―自分の思いは貫けるか?
第3章 古文と現代文のあいだ―自分の言葉で書くのは難しい!
第4章 文学者にはなったけど―ジャンルとスタイルの自分探し
第5章 引き裂かれる〓外―分裂してしまう自分
第6章 自己更新を続ける文学者―自分探しのゆくえ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
92
高校生向きにかかれた森鴎外の生涯をその作品とともにわかりやすく書かれています。私は吉野俊彦先生の鴎外の生涯を克明に描いた5冊の本を幾度か愛読していますが、この本もコンパクトな割には鴎外の姿をきちっと公平に書かれています。しかしながら最近の中高校生でどれだけの人が鴎外の本を手に取ってくれるかが気になります。「渋江抽斎」などを読む人がどれだけいるのか知りたい気がします。2023/04/19
ブルーツ・リー
8
森鴎外の人生は苦悩が大きいものになるだろうなあ、と感じた。 森鴎外は、藩医の出であって、武家に準ずる家柄。当然、幼い頃の教育は儒教思想に基づいて行われる。 それだけで生きられれば先祖代々やっている事を繰り返せばいい訳だが、明治維新からの近代化により、自由の中で生きざるを得ない事になる。 更に鴎外はドイツ留学の経験があり、近代の自由のすばらしさにも触れ、その間にあって、文学作品を書き続ける事になる。 自由の不完全さの中にあって、それでも儒教の完全さを見失わず、完全なる父、完全なる作家を目指した人だろうか。2023/02/25
Gamemaker_K
6
森鴎外概論に加え、言文一致付近の事情も分かりやすく書かれている(岩波ジュニアだからね)。明治男子は大変だったんだねほんとに。…「舞姫」については、高校の頃は豊太郎の言動を「何から何までしょうがないだろ」というようなことを言って当時仲の良かった女子を激しく怒らせた記憶がある。エリスがかわいそうだとちょっとでも思わないのか?と言うようなことを言われたが、あの状況なら何にも抗えないだろう…と火に油を注ぐことは言わなかったと思うその時は。2023/02/05
oooともろー
5
森家と自分、母親と妻、軍医と文学。裂かれる自我に悩んだ鷗外。色んな見方ができる。2024/06/08
るい
5
「舞姫」の印象の悪さ、森鴎外の軍医としてのエピソードなど、断片的に知っていたことを、「森鴎外の一生」を通してとても詳しく書かれていた。森鴎外について知りたい人に、入門書としておすすめの一冊!2023/04/20
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