出版社内容情報
映画愛を貫いて89歳で亡くなった淀川長治さん.その一生は,映画から人生の知恵,愛の精神,勇気や希望を学びつづけた「人間勉強」の連続だった.その彼が人生最後の日々に若者たちに伝えたかったこととは? 感動の評伝.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よこしま
21
物心ついた時から本当に映画が好きだったんですね。「学校は映画館」とまで言い切ってしまうほど、彼の人格を作りあげるまでな重要なものだったんでしょう。特に、心から敬愛するチャップリンの影響が大きいです。本人が楽しめるのなら、学校でも、映画でも、いや他のモノでも、生きた人間勉強になるのでは。ジュニア新書ですから、若い人、親子で読んでいただければ、人生の岐路を広げられるかなと思います。最近の米国の映画が淀川さんが好んでいた優しい映画が減り、戦闘的なモノが増えいるのが心寂しいです。そんな私は健さんばかりですが(笑)2014/06/14
ヒデキ
8
淀川長治さんの生涯をジュニア向けに語られています。自伝等で読んだことがなかったエピソードもあり楽しく読ませて貰いました。残念ながら、現在では、淀川さんの語りを知っている人も40代以上になっているんでしょうね。寂しいです。昔、淀川さんのラジオの語りから昔の映画を想像していた時代が懐かしいです。2020/02/01
fonfon
8
好きなことを貫いて生きてゆくにはどうしたらいいのか、淀川さんは映画に殉じてその人生を全うした有様、が外すところなく簡潔に書かれている。最後の講演でキアロスタミの「桜桃の味」を紹介されるところなど、淀川さんの声がありありとよみがえる。桑の木にロープをかけて自殺しようとした男が、ふと手にふれた桑の実を食べ、なんておいしい、と、自殺を思いとどまる場面を「人生のぜいたく」と看破する。何かを選び取るには何かを捨てざるを得ない、ということも読後感として刻まれる。進路に迷う10代必読の書ともいえるかも?2011/10/30
kaz
3
生まれる前から亡くなる時まで映画とともに歩んできた人、淀川長治。本当になにかを好きになるとはどういうことかを教えられた。そしてその映画から学んだという人間愛についても。愛は受け取るものではなく与えるもの。だからこそ強い。ほんの小さな事であっても見ている人はちゃんとみてくれている。「できれば、映画をワンカット見ただけでも、その中身がわかるような感覚を育ててほしい」と語っていたという。淀川さんはそういう感覚の持ち主だったからこそ愛されたのだろう。巻末の淀川長治が愛した映画30選はぜひとも全部観てみたい。2020/03/31
gtn
3
想像以上に厳しく優しい人である。男性らしさと女性らしさを兼ねそろえている。2018/08/11
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