出版社内容情報
中国から帰還した倭人の娘ヒミコは、神託を受け乱世の倭国統一に乗り出した。謎の女王の生涯を通して古代史を鮮やかに描きだす
内容説明
ヒミコの君臨する邪馬台国は、北九州を中心に勢力を拡大。吉備国と組んで倭連合国を結成し、南の狗奴国を討つ準備を始める。ヤマト建国の日がいよいよ近づく一方で、超人的であったヒミコの神託の力が、次第に衰え始める―。女人としての懊悩と、迫り来る老いへの不安を胸に秘めた、ヒミコの後半生を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さら
22
巫女といえども一人の女性。卑弥呼の女心がわからないでもないですが、女王としてはそういう私心を捨て、大きく世の中を見て欲しいと願ってしまいます。黒岩さんの書かれた卑弥呼が本当の姿かどうかは分かりませんが、卑弥呼の時代、そしてその時代に生きた人々に思いを馳せることが出来て、日本の歴史の一端を感じられたことが嬉しいです^^2013/05/29
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14
*古史古伝・上下巻*後漢時代。中国沿岸部の倭人集団の首長ミコトは、幼い娘ヒメミコの予言と宣託に導かれて海を渡り倭国に帰還する。だが眼前に映る倭国は、血で血を洗う、殺戮と暴力の支配する乱世の時代を迎えていた。今、卑弥呼による倭国統一が鮮やかに描かれる!――今尚、謎に包まれる"邪馬台国"と"女王卑弥呼"そのテーマをリアリティたっぷりに描いたロマン溢れる時代活劇!非常に丁寧な作りに大満足です!ただ一言だけ言えば、もう少し『女性天皇』のテーマまで掘り下げて欲しかった。 ⇒続き2013/06/26
BIN
10
魏志倭人伝程度しか資料がないものの想像力を駆使してありそうな卑弥呼像を描いてくれた。大概神秘的な主人公を描くと終生神性さを持ったままで描きそうなものの、一人の女性として何よりも恋愛を優先したくなる姿を描いているのは現実味があって良かった。確かに三国志中に「千人の侍女を侍らせ、男子がただ一人だけいて飲食物を届けたり、命令や言葉を取り次いでいた」とあり、その男子が卑弥呼のそばにいたくて宦官となった恋人と着眼したのは凄かった。その一文を読んだことがあった私としては衝撃的でした。2016/04/08
take5
8
上下巻にわたって、卑弥呼の生涯が生身の人間として描かれ、『魏志倭人伝』に出てくる人物達と作者が創造した人物達が登場します。邪馬台国九州説で、北部九州の国々や、出雲、吉備、河内、大和、狗奴国、狗邪韓国、魏などとの関係が想像でかなり具体的に描かれていて非常に面白かったです(『倭人伝』の記述を、1990年代前半頃までの古代史(倭国、中国、半島)の学説、発見された遺跡や遺物、道教の影響などに基づく作者の史観で補足している感じで、私が読んだ<卑弥呼もの>小説の中では、最も妥当かつ現実的な想像という感じがしました。2019/01/05
kiiseegen
7
神託をとり女王として君臨する卑弥呼も、恋し、老いに悩む...。一般的な女性の一面を描くだけに現実味がある。上下巻で描かれた卑弥呼の生涯を堪能。2020/09/16