出版社内容情報
被災地、好きなブランド、ふるさと納税、推しのアイドル……を消費することで応援しようとする行動が目立っている。このような新しい「お金の使い方」が社会を動かす大きなエネルギーとなっている。利他的な感情と経済の論理が時に対立し、時に協調する新時代のマーケティング思考のメカニズムを解説する。
内容説明
被災地、好きなブランド、ふるさと納税、推しのアイドル…を消費することで応援しようとする行動が目立っている。このような新しい「お金の使い方」が社会を動かす大きなエネルギーとなっている。利他的な感情と経済の論理が時に対立し、時に協調する新時代のマーケティング思考のメカニズムを解説する。
目次
第1章 応援消費の広まり
第2章 寄付とボランティア
第3章 ふるさと納税にみる返礼品競争
第4章 世界における応援消費
第5章 交換を創り出すマーケティング
第6章 統治性とマーケティング
著者等紹介
水越康介[ミズコシコウスケ]
1978年生まれ。東京都立大学経済経営学部教授。神戸大学経営学部卒業、神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程修了。博士(商学)。専門は市場戦略論(マーケティング論)、インターネット・マーケティング。2019年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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チャー
16
経営学者の著者が他者を応援するための消費について考察した本。純粋に必要なものや個人的な趣味で購入・消費する使い方ではなく、何かに頑張っている人を応援するための消費という観点で分析された内容は興味深い。応援消費という言葉が使われ始めた時期の解析や、寄付やボランティア、ふるさと納税などとの分類等についても解説しており、新たに知ることも多い。買うことによる応援という意味のバイコットという言葉があるようだ。消費は物からコトへとはよく耳にするが、本書の分析からお金を払って得たい内容が刻々と変化していることが伺た。2022/09/10
Porco
13
「推し活」の話かと思いきや、ある企業やお店、地方、自治体などを応援する意味で、そこの商品や産品を買う行動についての本でした。典型としてふるさと納税が取り上げられています。著者の問いの設定は、応援するなら本来、寄附(=贈与)でいいはずなのに、なぜ見返りのある消費(=交換)になったのか? というもので、そんな見方もあったのかと新鮮でした。それはマーケティングによるものなのですが、マーケティングの研究者である著者は、それを否定的に捉えません。2022/08/17
koji
12
応援消費とは、人や企業を消費で支援すること。ここに「苦境の」という言葉がついて、東日本大震災以降広まったようです。代表例はふるさと納税や推し活。私の妻は、イオンやヨーカドーばかりでなく、「地元の小さな商店やスーパーでも(そういう所がなくならないよう)少し高くても買ってあげなくっちゃ」と言って行ってますが、これも応援消費ですね。本書は、新書らしく、ワンテーマで深く掘り下げた好著。唯入口は読み易いのですが、途中哲学的、経済学的、法学的に分析するところは難しくなり覚悟がいりますね。消費概念の変遷が心に残りました2023/10/15
Inzaghico
9
応援消費という言葉が広く普及したのは東日本大震災がきっかけだ。コロナ禍では、応援消費がリアルからネットに移ったことが大きい。応援消費は、消費と贈与が混ざり合っているという人類学者のコメントにはっとする。贈与が寄付と結びつくとすれば、消費は交換と結びつく。寄付は手元に何も残らないが、応援消費は手元に何か残る。いわばウィンウィンだ。日本では、寄付しても公言しにくく(陰徳が是とされるため)、そのために交換志向へ、という見立てもなるほど、と思う。秘すれば花、という時代でもなくなってきたわけだ。2022/10/26
kuukazoo
8
この本を読んでる時に寄付とクラウドファウンディングは似てるが違う(でも何が違うかはうまく言えない)みたいなツィートをみて、確かに寄付という善意の行為(贈与)が消費や市場や経済(交換)と結びつけられるのは違うという感覚はあるかもと思った。著者によれば「今の時代にあっては経済と切り離された応援や支援は存在しにくくなっているのであり、経済との折り合いをどのようにつけていくかの方が重要になっている。」なるほど。後半はマーケティング論(需要喚起)やフーコーが出てきて自由意思って何?という気持ちになる。勉強になった。2022/10/11