出版社内容情報
群雄割拠を繰り返す中国史.第1巻では華北を中心に,先史時代から中華帝国が形成される八世紀半ばの唐代中期までを扱う.
内容説明
「中国」はどこから来てどこへ行くのか。群雄割拠を繰り返してきたその雄大な歴史を、多元的な視座から描きだす。第一巻では黄河文明が栄えた華北を中心に、先史時代から春秋戦国、秦漢、三国時代などを経て、中華帝国が形成される八世紀半ばの唐代中期までの三千年を扱う。伝統中国の原型がいま明らかになる。
目次
第1章 「中原」の形成―夏殷周三代
第2章 中国の形成―春秋・戦国
第3章 帝国の形成―秦漢帝国
第4章 中国の古典国制―王莽の世紀
第5章 分裂と再統合―魏晋南北朝
第6章 古典国制の再建―隋唐帝国
著者等紹介
渡辺信一郎[ワタナベシンイチロウ]
1949年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。専門は中国古代史、中国楽制史、京都府立大学教授、学長を経て、現在、京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター所長、京都府立大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
123
中国史の通史については今まであまり書かれていません。岩波新書の貝塚茂樹先生の中国史、宮崎市定先生の中公文庫などが主要なものといえましょう。そのほか史記や十八史略などは一部分です。宮城谷さんや陳舜臣さんのも物語的な要素が多く正史とは言えません。この本はそれを期待させてくれるような感じです。今後全5冊ということのようで前半3冊は西暦1300年頃までを中国を4つの地域に分けての分析です。農民社会の形成などではかなり細かな分析があるようです。2019/12/22
skunk_c
62
中華を概念と領域の双方から把握し、唐代までに周辺領域を含めどう成立したかを説く。文化史的要素はほぼなく、人物ではなく制度が主体の記述なので、ちょっと堅い印象もあるが、均田制、給田、府兵制、租庸調などの、従来当たり前のように語られていた概念について、その時代の資料を根拠に(著者自身を含め)根本的な見直しを迫っている点が画期的。例えば均田制は農民に等しく土地を配分するととらえられがちだが、官吏に対しその役職に応じ適切に配分することも含む(つまり官吏は地主となる)など。中国古代に対する全体像がかなり変わった。2020/03/23
サアベドラ
32
新たな研究成果を取り入れ、従来の時代別・政治中心の歴史観からの脱却を目指す新書中国史シリーズの第1巻(全5巻)。この巻では先史から唐までの華北の歴史を、国制の変化を中心にたどる。2019年刊。著者の専門は古代制度史、楽制史。従来否定的に見られることの多かった王莽の復古政策を中国古典国制の完成期とみなす、中央・国内・国外という中国伝統の地理概念の起源を先史時代に求めるなど、興味深い指摘が多い。ある程度歴史の流れを知っていないとわかりにくい内容ではあるが、腰を据えてじっくり読めば門外漢でも十分楽しめると思う。2020/02/10
サケ太
29
中国、考えてみればこの名称は一度として国名となった訳ではないのか。という気付きから始まり、初めに生じた社会から、夏、殷、周へと続き、形成された社会体制について語られる。どのように統治が行われたのか。という点が主で、様々な英傑たちの生涯を描くわけではない。しかし、戦国時代から三国時代まではなんとなく頭に入れていただけに、他の時代の王朝がどのように亡び、誕生したか、という点について確認できたのはありがたい。カオスな五胡十六国時代、南北朝、隋、唐。政治体制やその綻び、崩壊について大まかに知れて楽しい。2020/11/05
きいち
29
人物がメインでない通史、感情移入もできないし、一つ一つの制度や儀礼、その背景の環境ともども理解までは骨が折れるし、でも、ちゃんと読ませてくれるのが不思議。ところどころの、例えば欧陽脩にケンカ売って、「いやや千年の誤解から解放されるべき秋である」!というタンカのおかげかもしれない(笑)。◇ヨーロッパと違って、ずっと規模の大きな中国がなぜ「ひとつ」なのか。「天下」というもの、それに皇帝、可汗、金輪聖王が一人の身に結びつけられ、制度の網の目が作られていく、強固な存在。いや、これから変転していく、楽しみに追おう。2020/06/28