内容説明
二一世紀に入り、世界の眼は俄然、中国に向けられるようになった。飛翔を始めた巨大な龍。一九四九年の建国以来、この国はどんな歩みをたどってきたのか。今日に至る数多くの事件・事実をたどり、他に類を見ない、そのダイナミックな歴史の流れを描く。定評ある通史をアップデートした新版。
目次
序章 中華人民共和国前史
第1章 新中国の誕生と国造りの模索
第2章 中国独自の社会主義建設の挑戦と挫折
第3章 プロレタリア文化大革命
第4章 曲折する近代化への転換
第5章 改革開放路線と第二次天安門事件
第6章 ポスト〓(とう)小平と富強大国への挑戦
第7章 「中華民族の偉大な復興」への邁進
終章 中国はどこへ行く
著者等紹介
天児慧[アマコサトシ]
1947年岡山県に生まれる。1981年一橋大学大学院博士課程修了。専攻は中国政治、アジア国際関係論。現在、早稲田大学国際学術院アジア太平洋研究科教授、早稲田大学現代中国研究所所長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あすなろ
58
毛沢東が当初掲げた新民主主義は、決して社会主義・共産主義的なものではなかった…。一度中国現代史を俯瞰してみようと手にした本。毛沢東→と小平→習近平と大局が流れた中、中華民族の夢は達成されているのか?語弊あろうが、資本主義的なものの粉砕と復活と認知への葛藤が1つの流れとしてある。その包括的論議として資本主義・民主主義との抗いが。また、ナルホドと思ったが確かに常にソ連の脅威が沿う。これからどう動くのか?習近平が有期を事実上無期と自身の任期をした中で、グローバルな中で。なお、もう少し毛沢東という人物を知りたい。2018/12/08
おさむ
33
政治、経済、社会の各側面から1949年の建国以降の歴史がコンパクトにまとめられています。共産党が兵力で大きく不利だったのに国民党に勝ったのは毛沢東の戦術の巧みさだった半面、文化大革命によって中国の成長を10年間ストップさせた張本人で、功罪相半ばする存在である実態を丁寧に描いています。1976年の第一次天安門事件が、89年の第二次事件のいわば前哨戦というか、プロローグである点が理解できました。1999年の旧版迄の充実ぶりに比べて21世紀以降の記述がやや一本調子で単調なところが、強いて言えば難点でしょうか。2019/11/11
おたま
32
序章の「前史」から第三章「プロレタリア文化大革命」まではやはり毛沢東中心の歴史だった。彼の思想や指示が全てを動かしていき、文革で大混乱を招き、その渦中で毛や周恩来等が亡くなっていく。今回注目したのは、毛沢東後。鄧小平による改革開放路線の提起から、次第に世界に向けて門戸を開放していく。さらにそれを継ぐ江沢民、胡錦涛らによって人民公社の解体等も進められて、社会主義市場経済へと転換していく。株式会社や外資の導入も進められた。すなわち経済面では他国との関係の修復を行い、市場経済に向かい、ほぼ資本主義化した。2021/09/18
そふぃあ
26
毛沢東の「戦争常態論」、戦争状態が普遍的なのであり平和は異常状態である、という思想はあまりにも恐ろしい。敵がいなくなれば今度は味方を蹴落とし頂点へ上り詰めていって、心の安寧はあったのだろうか。鄧小平指導下の改革開放政策についても分かりやすく書かれていた。埋まらない経済格差と強大な既得権益。中国とは覇道の世界なのだなと思った。 2021/03/26
なつきネコ
19
大学のレポート課題。中華人民共和国は文化大革命でヤバくなり、気づけば経済大国のイメージ。毛沢東と鄧小平を比較と違いは理想と現実の違いかもしれない。よく、中国は社会主義路線を変えて経済だけ市場主義化したと言われているが、理念を変えたわけではない気がしてきた。社会主義の成功には富のある国のシステムを変えなければいけいない、今の中国は富を蓄えて真の社会主義を目指す途上かもしれない。つまり、あの国が市場経済を変化されせる事ができるかが、社会主義の勝利か敗北かの分かれ道なのかもなと思う。たぶん、無理だろうが。2020/09/20