出版社内容情報
グローバル化が進み、ますます一体となりつつある現代世界。従来のヨーロッパを中心とした世界史像は、もはや刷新されるべき時を迎えている。いまこの時代にふさわしい歴史叙述とはいかなるものか。歴史認識のあり方、語り方を問い直し、「世界はひとつ」をメッセージに、地球市民のための世界史を構想する。
内容説明
グローバル化が進み、ますます一体となる現代世界。その現実を前に、従来のヨーロッパを中心とした世界史像は、刷新されるべき時を迎えている。いまこの時代にふさわしい歴史叙述とはどのようなものか。歴史認識のあり方、語り方を問い直し、「世界はひとつ」という視点から、地球市民のための世界史を構想する。
目次
序章 歴史の力
第1章 世界史の歴史をたどる
第2章 いまの世界史のどこが問題か?
第3章 新しい世界史への道
第4章 新しい世界史の構想
終章 近代知の刷新
著者等紹介
羽田正[ハネダマサシ]
1953年生まれ。京都大学文学部卒業、京都橘女子大学文学部助教授、ケンブリッジ大学客員研究員、東京大学東洋文化研究所助教授などを経て、東京大学東洋文化研究所所長・教授。専門、比較歴史学、世界史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たかしくん。
22
どうしても、ヨーロッパ中心史観から抜け出せない現在の世界史に対する、著者からの批判と提言。ウォーラースタインの近代世界システムもその対象でした。著者は、イスラム史がご専攻なのですね(笑)。その主張は確かに至極もっともで私自身が自戒するところもありましたが、氏の提言の部分は今一つ入ってこなかったです。ところで、戦前の日本の歴史課目は、日本史、東洋史、西洋史の3つに分かれていたとのこと。2020/12/17
金吾
21
理念はわかりますし、理想としても言いたいことは理解できたように感じました。ただ私の理解不足なのかも知れませんが、具体的な表現を考えてみたら縦軸を横軸に変えただけになるような気もしました。チャレンジは素晴らしいと思います。2024/01/26
cape
18
ヨーロッパ中心史観を否定し、地球規模で歴史を理解することが重要という著者の主張は、現代の世界政治経済の葛藤にアプローチする。確かに西方ユーラシアなどを学ぶ機会は少なく、個別の地域史は横の結びつきに欠ける。しかしながら膨大な歴史を記述するとき、地球規模で記すのは難しくないか。これまでのヨーロッパ中心史観はそれ自体がヨーロッパの存在感という歴史を語っているのではないか。現代を軸に過去を振り返るとき、抜け落ちてしまう部分はないか。私は総論賛成、各論反対。個別の議論は今後に期待。世界史から考えるいい機会になった。2016/11/27
サアベドラ
14
現行(2011年刊行時点)の高校世界史教科書は、高校生に地球市民たる意識を芽生えさせるのには不十分であるとして、より理想的な世界史教科書を作るためにどうすればよいのかを考え、著者の構想を提示する。著者はサファヴィー朝を中心とするイスラーム史研究者。著者の指摘する現行教科書の問題点(各国史・地域史のツギハギで、欧米中心史観から脱却できていない、など)はおおむね共感できたが、一方で著者の提示する解決策(時系列的記述を放棄する、中心性を排除する、人間集団をモデル化して並置するetc)はあまり同意できなかった。2015/05/24
月をみるもの
13
欧米(というかヨーロッパか)中心主義を脱した、地球/人類史としての「新しい世界史」を描くためにはどうしたらいいのか? ある地域/集団の通史ではなく、ある瞬間の地球全体における人類の活動のスナップショットをとり、それを100年単位で並べる、、、というのは、確かに面白いアプローチではある。「歴史は時間/地理は空間」という従来の枠組みを超えて、時空連続体の中でのホモサピの活動をより「客観的」に記述することを目指すなら、それはもはや地球史の一部にならざるをえないだろう。2020/12/07