出版社内容情報
天山山脈からガンダーラへ――。東西文化の交わる中央アジアを踏破し、今は歴史の彼方に失われたその豊穣な姿を書き残したのが、玄奘三蔵そのひとである。彼の記録を道案内に、前人未踏の地をゆく険しくも心躍る旅を追体験する。
内容説明
中国・天山山脈からガンダーラへ。「シルクロード」と呼ばれた古道のほとりで、東西の宗教や言語がまじりあう豊穣な文化をはぐくんだ西域・中央アジアの国々。今は歴史の彼方に失われたその姿を、旺盛な好奇心と鋭い観察力をもって記録に留めたのが玄奘三蔵そのひとであった。前人未踏の地をゆく、険しくも心躍る玄奘の旅を追体験する。
目次
第1章 不東の旅立ち
第2章 異文化の香り高い西域
第3章 シルクロードの十字路ソグディアナ
第4章 古代バクトリアゆかりの国ぐに
第5章 仏教文化の聖地
第6章 果てしなき道
著者等紹介
前田耕作[マエダコウサク]
1933年三重県生まれ。1957年名古屋大学文学部卒業。1964年名古屋大学アフガニスタン学術調査団の一員として初めてバーミヤンを訪れ、以来、アフガニスタン、西アジア、中央アジア、南アジアの古代遺跡の調査を行う。現在、和光大学名誉教授、アフガニスタン文化研究所所長。専攻はアジア文化史・思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ロビン
16
7世紀ー隋の末、唐の初めに生まれた玄奘三蔵は、その人生のうち17年間を唐とインドの求法の旅の往還のなかに過ごした熱すぎる人だ。当時国はいまだ混乱期にあり西域への旅には朝廷の許可が下りなかったうえ、兄にも制止されたが、玄奘はそれを振り切りーつまり国禁をおかしてー案内のソグド人も恐れて進まないような旅路を時として一人で進んだのである。アレクサンダー大王の東征路とその旅路が重なり合うという事実にも感動。そもそも私は西遊記が大好きである。法を求めて不惜身命の旅をした玄奘を、物語にしたくなる気持ちが分かった。2023/11/10
おMP夫人
11
西方への果てしない旅は誰に命じられたものでもなく、翻訳物ではない仏典の原典に触れて真髄を学びたいという情熱的な欲求が動機で、海外の翻訳作品をいつかは原文で読みもっと理解したいと考える(だけで何もしていない)私はそこに親近感を持ちます。入念な下準備をして実行に移す行動力、国禁をおかして国外へ旅立つ度胸、行く先々の地を見つめる緻密な観察眼、過酷な道のりを進む強靭な精神力。そんな玄奘の長い長い旅のダイジェストとも言える本でした。こんなにエネルギッシュな人ならば、ブタとサルとカッパのお供は必要なさそうですね。2013/01/07
活字の旅遊人
9
天竺には着かない?
しんさん
4
往復17年。なんたる信念とサバイバル力。俺もそれくらい信じ続けよう。執着せずに、追いかけずに、信じ続けよう。2022/07/16
テツ
4
教典を求めて玄奨三蔵がはるばる辿ったインドへの道程が簡潔にまとめられていて面白かった。『西遊記』のように妖怪変化に襲われたりはしなかったけれど、リアルな三蔵の旅はフィクションのそれに勝るとも劣らない過酷な物だったんだな。好奇心と智への欲求は人間を激しく突き動かすということを改めて理解した。自らを駆り立てて止まない何かに出会えることは幸せだ。2015/05/27