出版社内容情報
21世紀の世界を変える道がここにある。
今の世界を覆う資本=ネーション=国家という接合体。
この構造を解明し、それを超える「世界共和国」の可能性を探る衝撃の社会構想。
絶望することはない。すくなくとも道筋ははっきりしているのだから。──柄谷行人
内容説明
「資本=ネーション=国家」という接合体に覆われた現在の世界からは、それを超えるための理念も想像力も失われてしまった。資本制とネーションと国家の起源をそれぞれ三つの基礎的な交換様式から解明し、その接合体から抜け出す方法を「世界共和国」への道すじの中に探ってゆく。二一世紀の世界を変える大胆な社会構想。
目次
序 資本=ネーション=国家について(理念と想像力なき時代;一九世紀から見た現在)
第1部 交換様式(「生産」から「交換」へ;「交換」の今日的意味 ほか)
第2部 世界帝国(共同体と国家;貨幣と市場 ほか)
第3部 世界経済(国家;産業資本主義 ほか)
第4部 世界共和国(主権国家と帝国主義;「帝国」と広域国家 ほか)
著者等紹介
柄谷行人[カラタニコウジン]
1941年生まれ。評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
41
後期柄谷の仕事である生産様式ならぬ交換様式の探究です。生産様式でないところに資本主義批判が込められています。冷戦崩壊によりマルクス主義的言説が失調し、資本主義に覆われた世界をグローバリズムと批判していますが、著者が最後に構想する世界共和国はグローバリズムではないのかという批判は容易に想像できます。「産業資本が労働者を搾取するだけでなく、いわば自然も搾取」するとありますので、斎藤幸平『人新世の「資本論」』は10年以上前と同じことをいっていたことになります。本書が『人新世』と異なるところは2つあります。第一に2021/12/25
fseigojp
28
柄谷教の信者になった本です2015/10/17
白義
22
後の世界史の構造の見取り図を素描した序説的な本で、現実では暴力的な惨禍に終わったマルクスの理念をカント的に捉え直し、新たなユートピア論を構想しようとした意欲作。互酬、再分配、商品交換という交換様式の交錯により原始共同体から近代的な資本=ネーション=国家までの社会構造の歴史を整理し説明しているのは面白い。しかしそれらの最後に来る第四交換様式=Xによるアソシエーショニズムというユートピアの概念はというと未来へ導く理念としても姿がまだ不明瞭で、抽象性が高過ぎるという印象も。過去の思想家の読み直しとしても面白い2015/06/10
tharaud
9
2006年の著作。交換様式論からカントの「世界共和国」という理念の重要性を説く。「世界共和国」(あるいは消極的代替物としての国連)の役割の強化という理想は、2022年以降の世界において実現性はかなり低いように思う。しかし的確なマルクス批判やプルードンなど半ば忘れられた思想家の再評価、斎藤幸平や成田悠輔らも含む若手の言論人への影響の大きさなども含めて、読んだことで世界の見通しが少しクリアになった。2025/05/10
りり
9
読んだけれど、基礎知識がなくてついていけず。もう少し勉強してからでないと、まともに理解すら及ばない本。2015/12/23