岩波新書
裁判官はなぜ誤るのか

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 204p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004308096
  • NDC分類 327.6
  • Cコード C0232

出版社内容情報

判事として再審請求事件に向き合った経験を持つ著者が,裁判官の日常生活やキャリアシステムにひそむ問題点を指摘し,司法改革が議論されている今日,誤判や冤罪を生み出さないためには何が必要かを提言する.

内容説明

もし、裁判官の判断に誤りがあったら―。人の一生を左右する誤判、冤罪の背景には何があるのか。判事として再審請求事件に向き合った経験をもつ著者が、裁判官の日常生活やキャリアシステムの問題点を指摘し、さらに法曹一元化、陪審・参審制度などの司法改革が議論されている今日、裁判が市民のものになるには何が必要かを提言する。

目次

第1章 裁判所と裁判官の生活
第2章 刑事担当の裁判官として
第3章 再審請求を審理する―徳島ラジオ商殺し事件
第4章 証拠の評価と裁判官―袴田再審請求事件
第5章 「犯罪事実の認定」とは何か―長崎(痴漢冤罪)事件
第6章 裁判官はなぜ誤るのか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヤギ郎

12
弁護士に転職した元裁判官が日本の司法制度について語った一冊。学問というメガネで司法制度を分析しているというわけではないので,注意の必要な本ではあるが,元裁判官が自分の経験を語るということからとても貴重な一冊だ。裁判を身近に感じるためにも,裁判官の苦しみを知るのも一つの手だろう。近年,下級審では不思議そして意味不明な判決が出ているので,裁判所のありかたを見直すよい機会かもしれない。2018/01/19

すぎやん

8
弁護士経験のない者が裁判官になって当事者を裁く。この仕組みが日本の裁判所が抱える最大の問題に思われます。法曹一元化の必要が叫ばれてから久しいですが、いまだ実現する気配はありません。しかし、司法試験改革なんかよりも先に取り組むべき問題だったのではないでしょうか。2017/04/10

takizawa

6
『自白の心理学』に引き続き,冤罪問題について考えてみようプロジェクト。筆者は元裁判官・現弁護士で,検察官の主張を批判的にチェックできない裁判官にも冤罪の原因があるという。裁判官時代の私的な経験を描きつつ,確かに裁判官は厳しい勤務評定にさらされ膨大な案件を処理しなければならないが(これは想像以上でした…),それでも一般的な市民感覚からすれば合理的な疑いの残る事件について簡単に有罪にしてしまっている,特に痴漢冤罪については訴訟で争うような人の心理(真犯人であればむしろ示談で済ます)を汲みきれていない,と指摘。2010/04/24

はぎはぎ

5
元裁判官で弁護士の筆者が、その体験を踏まえて冤罪や誤判について考察した著作。単に裁判官を批判するのではなく、裁判官、検察官、弁護士それぞれが置かれた状況や裁判の実際の流れを押さえた上で、構造的な問題点を指摘している。自らの生活を振り返りながら、裁判官が経験知や世間知に疎い傾向があること、証拠や自白の扱い方など、教科書的なものからは得られない情報が興味深い。「徳島ラジオ商殺し」においては再審判事も務めたそうであり、実体験に基づく議論は説得力がある。2021/11/22

スズツキ

4
冤罪事件などの発生理由をそのシステムや裁判官の暮らし、果ては教育からまで縦横無尽の往来でその問題点と解決策を模索する。評判通りの1冊。2016/06/12

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/77515
  • ご注意事項