岩波新書
書物を焼くの記―日本占領下の上海知識人

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  • サイズ 新書判/ページ数 236p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004150718
  • NDC分類 924
  • Cコード C0222

出版社内容情報

「この本は問題になるだろうか」「この雑誌は,残しておいてもさしつかえないだろうか」…….日本占領下の上海で文化統制は極度に強まり,あらゆる抗日的な書籍・雑誌・新聞が所持者の手によって焼き捨てられる運命に遭った.占領下で民族を裏切らず良心的に生きた中国の知識人が,その悲痛な体験と民衆の生活を生々しく描いた貴重な記録.

内容説明

「この本は問題になるだろうか」「この雑誌は、残しておいてもさしつかえないだろうか」…。日本占領下の上海で文化統制は極度に強まり、あらゆる抗日的な書籍・雑誌・新聞が所持者の手によって焼き捨てられる運命に遭った。占領下で民族を裏切らず良心的に生きた中国の知識人が、その悲痛な体験と民衆の生活を生々しく描いた貴重な記録。

目次

はじめに
暮影
最初の犠牲者
封鎖線の内と外
「最後の授業」
書物を燒くの記
書物を賣るの記
書物の運命
遭難した友人たち
占領下の『魯迅全集』
愛國者・鄒韜奮
わが友の死―夏丐尊のこと
漢奸のできる原因
わたしの家・周佛海の家
周作人を惜しむ
鵜と魚
遺書に寄せて
〓年と女優と
ある女スパイ
飛び降り自殺
〓佩孚の生と死
悲惨な米

著者等紹介

安藤彦太郎[アンドウヒコタロウ]
1917‐2009年。1941年早稲田大学政治経済学部卒業。早稲田大学名誉教授。専攻、中国近代史

斎藤秋男[サイトウアキオ]
1917‐2000年。1941年東洋大学文学部卒業。専修大学名誉教授。専攻、中国思想文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さとうしん

15
著名な文学者鄭振鐸による、日本占領下の上海での暮らしの日々。中国史上の「焚書」についてとやかく言う向きもあるが、戦時中のものに関して日本もそれに関与していたとなれば、日本が「焚書」をあげつらうことができないのではないかと感じた。占領下で秘密結社がやったことが『魯迅全集』の刊行であったというのも、「焚書」の動きを踏まえると面白い。2018/08/04

fumi

6
読書でこんなに心を激しく揺さぶられたのは久しぶりだった。読書家を自称する人で、表題の章を平静に読み通せる人は恐らくいないだろう(自称しない私ですら落涙しそうになった)。本書の大部分は、著者が終戦直後から綴った戦中回想記の雑誌連載「蟄居散記」から成るが、巻末に収録の「あれから一年」でこの国の読者を感傷のみに酔わせてくれない、甘えのない造本にもぐっとくる。いかにもその時代の対句を多用した美文だろうなと想像できる原文を、品を損なわぬまま読みやすい平易な日本語にした訳者の力量もすごいと思った。2018/08/31

Fumitaka

3
日本軍占領下における上海での生活の手記。スパイ狩りや現地人協力者を通じた分割統治などはまさに他の国もやってたことであり、こういった外国人から見た大日本帝国の様相は、豊葦原中津国もまた世界の一部であると鮮烈に伝えて来る。「反体制派」と「異論派」の区別がつかない占領者を前に、「反日的」とみなされた本を恐怖から自ら燃やした逸話や、反体制分子とみなされ拷問された人々の姿が語られる。こういった融通の利かない面は、大日本帝国も彼らがその否定に躍起になるところのマルクス・レーニン主義のような側面があったのではないか。2022/11/04

あわせ味噌

3
★★★★☆。貴重な、中国からみた日中戦争、太平洋戦争が描かれており、その中で苦しみながらなんとか生き抜こうとした方々の手記。日本軍のしてきたこと、それにへつらう人々、それらとは一線を画し、自分を見失わなかった人々。リアルに伝えてくれる必読の本。こんな中真摯に生き抜いてきた方々を素直にリスペクトする。2020/10/18

samandabadra

3
実際は1991年に37年ぶりに復刊したことへの コメントが本の最後に載せられている第三刷。 訳者に安藤彦太郎氏の名前を見つけ 読むことにした。 日本軍占領下の上海に生きた知識人の回想。 実際は文化統制で本を焼くということだけが テーマの本ではなく、(それでも面白いと思ったが) 上海に住む人々の生活と 貧しいながらも命脈を保とうとする 知識人の活動がよめる。 2009/03/11

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