出版社内容情報
平安時代の漢学者の娘として生まれた一女性が世界でも屈指の物語文学を書き上げるまでには，どのような経過があったのだろうか．多感な少女時代を送り，早くして夫に死別，中宮の女房となり，鋭い観察力と豊かな創造力で「源氏物語」を書きつづる．現実と虚構の交錯する世界に自らを投げ入れた紫式部の女としての生きかたを追求する．
内容説明
平安時代の漢学者の娘として生まれた一女性が世界でも屈指の物語文学を書き上げるまでには、どのような経過があったのだろうか。多感な少女時代を送り、早くして夫に死別、中宮の女房となり、鋭い観察力と豊かな創造力で「源氏物語」を書きつづる。現実と虚構の交錯する世界に自らを投げ入れた紫式部の女としての生きかたを追究する。
目次
序章
第１章 娘時代
第２章 旅
第３章 結婚
第４章 宮仕え
第５章 源氏物語の執筆
終章
著者等紹介
清水好子［シミズヨシコ］
１９２１‐２００４年。１９４９年京都大学文学部国文学科卒業。専攻―中古文学（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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maekoo
10
全原文の校注・訳にも関わり、源氏物語研究分野に大きな影響を与えていながら、読める書籍が出回っていない研究者である清水好子教授による、日記や歌集等の文献から読み解く作者の評伝。 娘時代・旅・結婚・宮仕え・源氏物語の執筆と序章・終章があり、特に力を入れて分析している紫式部集については巻末に全原文を掲載して下さっていて紫式部の生涯を読み解ける手助けになります。 作者の個性や人格形成がどの様な過程で育まれ、和歌や源氏物語にどう投影されていったかが、映像を観る様に読み解ける文学的な伝記としても読める良書です。2023/01/21
Gen Kato
5
歌集、日記から読み解く紫式部の人生。切れ味鋭くたいへん面白い。夫の宣孝像がなかなかに魅力的。この内容で新書とは、の読みごたえ。昔の新書は内容が濃くて素晴らしかったなあと再認識。2017/05/29
ぜっとん
3
少々物語的かとも思うが、そこはそれ、これだけ古典に没入していったひとの役徳というものだろう。羨ましい。式部の歌は源氏作中も含めてそれほどいい印象は無かったのだが、なかなかどうして、瑞々しさがあって人間性が滲みでるところがよかった。読みやすいし、いい本だと思います。2014/11/21
DEN2RO
1
紫式部集と紫式部日記を手がかりにして、紫式部の一生を推し量り、娘時代から越前への旅、結婚と死別、宮仕えと源氏物語執筆までをたどります。彼女の生きた時代の過酷な現実と彼女のつくり上げた巨大な虚構との間で、一人の女性の人生を追体験しようとする感じです。2024/02/04
吉田
1
「心」と「身」、内側のものと外側のもののうち、わが内なるものは弱く、外なるものが、肉体の側が否応なしに日々を押し進めていく。心はいつしかそれに対応して、泣いたり笑ったりしているという感慨は源氏物語の人物のものとしても何度か書き込まれるものである。2022/07/01
