出版社内容情報
「アメリカ文学の父」W・アーヴィング(1783-1859)の最高傑作。短篇小説ありエッセイありの雑記帳。下巻には、ニューヨーク近郊に流布する首なし騎士による殺人を題材にした「スリーピー・ホローの伝説」や、英国のクリスマス風景を描いた連作など、合計15篇を収録。上下巻あわせて邦訳史上初の全34篇を訳出。挿絵多数。新訳。(全2冊)
内容説明
米国ロマン派文壇の大御所W.アーヴィングの最高傑作。1815年にヨーロッパへの旅に出た作者が、そのときの体験や見聞を綴った作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
108
昔は抄訳でスリーピー・ホローなどを読んだものですが、結構面白い短篇というかエッセイのようなものも含まれていました。クリスマスがらみでの3つの短篇や私も行ったことがあるシェイクスピアの生家があるストラット・アポン・ヘイボンについての話が楽しめます。スリーピー・ホローはむかしの映画(といっても20年位前ですが)でジョニー・デップとクリスチーナ・リッチの掛け合いを思い出しました。2019/01/21
NAO
56
クリスマス当日、まだ眠っている大人たちの部屋の前で歌われる子どもたちの聖歌。おごそかで格式ばったクリスマスディナー。そのあとのたわいないおしゃべりと無礼講。鮮やかに描き出された、古き、良き、温かなイギリスの伝統行事。ストラトフォード・アポン・エイボンでは、その町の美しさが描くだけでなく、その一方でシェイクスピアの生家とシェイクスピアの墓地がある教会との客の奪い合いという俗っぽい話題も描かれていて、その対比が何とも面白い。ショートストーリー、『スリーピー・ホローの伝説』。2017/05/05
syaori
36
下巻は英国の地主の屋敷で迎えるクリスマスを描く一連の作品から始まります。クリスマスの招待を受ける「クリスマス」、屋敷へ向かう「駅馬車」「クリスマス・イヴ」「クリスマス・デイ」「クリスマス・ディナー」と続き、読んでいて、こちらも楽しいクリスマスを過ごしたような高揚した幸福な気持ちになりました。そのほかアメリカ・インディアンに関する考察や、スリーピー・ホロ―の首なし騎士の伝説に絡んだ滑稽譚「スリーピー・ホロ―の伝説」が印象に残りました。そして下巻でも「釣り師」などの英国の田舎のスケッチはとても良かったです。2016/12/27
なる
30
下巻の中では『スリーピー・ホローの伝説』がやはり秀逸。一見すると首なしの亡霊が登場する田舎町のホラーっぽい感じで一瞬『ツイン・ピークス』的なゴシック調を見せながらも、よく読み解いてみると人間関係の話がメインだったりで、主人公のイカボッドは狂言回し的な動きを見せる。ってことはやっぱり『ツイン・ピークス』はここからヒントを得ていたりしないだろうか。田舎町の亡霊の御伽噺でしたおしまい、ではなくて別の意図があるんじゃないかと思わせるような終わり方が興味深い。映画化もされているそうで観てみたいもの。2022/07/05
ゆかっぴ
6
上巻に続きいろんな話があるなかで、インディアンについての記述を興味深く読みました。解説もよかったです。2015/05/10