岩波文庫
ユートピアだより

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  • サイズ 文庫判/ページ数 392p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003420119
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

モリス(1834‐1896)にとって美は人びとの実生活の中に実現されてこそはじめて意味があった.本書で彼は社会主義者として未来社会との対比という形で当時の資本制社会と機械文明に対し痛烈な批判の矢を放つが,同時に美術家としてもその抱いていた美と芸術の理想を豊かに描き出す.それがまたこの物語に不思議な明るさを与える.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

66
社会主義運動家である作者が思い描いた、革命がなったあとのユートピア。そこでは、人々は強制的に何かをさせられるということがない。働くことも知識を得ることも、すべて楽しみとしてなされている。楽しみとして働いているからその報酬などは必要なく、人は、自分がしてほしいことを、してあげたいと思っている人から無償で受けることができる。物も同じで、無償で貰える。社会主義運動家である作者は、本気でこんな世界が実現しうると考えていたのだろうか。それとも、実際には有り得ないだろうけれど究極の理想はこれだ、と夢見たのだろうか。2021/09/29

meg

36
読書メーター再開。 とても面白かった。ウィリアム・モリスのエッセイというか、結構ほのぼのした世界観。台詞がまさに美しいという概念のユートピアで素晴らしく。何度読んでも良い。2025/07/15

魚京童!

21
後半はあっさりしてた。事実の列挙。こんな素晴らしい生活が待っています。あなたも頑張ってみませんか?どこぞの勧文句だ。圧制、戦争を経て、人間が仕事に意味を見出す。今はそれと反対の道を突き進んでいる。仕事に意味を見出せず、いずれ機械に置き換わると嘆いている。人間にしかできない仕事はもはやない。お酒に逃げるしかない。人間性とはと問い続けて、飽きてしまった。この生活が続くと破滅にしかならない。全能感による圧倒的な退屈。なんでもできるを受け入れられるまでには壁がある。今はその壁にぶつかって🐓みたいに突き進んでる。2020/03/11

サイバーパンツ

13
モリスの思い描く、社会主義革命後のユートピア。革命の描写がかなり丁寧で、純粋に小説としても面白い。政府も法も貨幣も学歴も美醜もない、万人が平等な社会。芸術も生活の一部として、重んじられているのは詩人で工芸家のモリスらしい。ユートピア人たちの暮らしは、牧歌的で、楽しそうだが、彼らからは、あまり人間らしさを感じない。というのも、彼らは、イコンとしての人間という感じで、我々からすると、意識レベルが高過ぎる。もし、ここに迷い込んだら、宇宙人と話してるような感覚になるだろう。ただ、順応できれば、楽しそうではあるが。2016/08/27

積読0415

4
トマス・モアを再読した後手に取る。モアは「ん~素敵だけど、まぁ実際そんな世界ないわなぁ・・・。」って感じだが、モリスは「俺の考えた最強の社会はこれだぁ!」という熱量である。モリスは続けて「夢オチ?冗談じゃない!これから俺たちがそんな社会を作るんだ!!」という『俺達の戦いはこれからだ!』的な締め方をしている。本書でモリスはユートピアの概念に現実味を加えようとしたらしく、社会の細部にまで渡る丁寧な説明がされる。しかし皮肉にも肝心の人間に現実味がない。2021/01/03

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