ロシア文学の理想と現実 〈上〉

ロシア文学の理想と現実 〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 271p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003264010
  • NDC分類 980

出版社内容情報

亡命者クロポトキンは,祖国を思いつつ,西ヨーロッパ・アメリカの人々に,ロシア文学の特質を伝えようと連続講義を行なった(一九○一年,ボストン).その講義をもとに書かれたのが本書である.ロシア文学の中からきこえてくる悲しみの調べはどこからくるのか.こう設問しつつ語られる文学史の中に著者の肉声を聞く思いがする.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

16
1916年初出。悲しみの調べロシア文学(3頁)。 語彙の豊富なロシア語(23頁)。 露語による初の聖書は1580年ポーランドで印刷(52頁)。 勉強家、タチーシェフ(1686-1750)は歴史や政治の著作で、 年代記の価値をみとめた最初の人間(59-60頁)。 ロシアのラシーヌというスマローコフ(1717-1777)は、 貴族出身で仏風教育を受け、演劇に貢献(63頁)。 詩的創造力のすばらしい(93頁)という、プーシキンはロシアのバイロン(92頁)。 2014/03/21

てれまこし

7
自然科学者でもあるクロポトキンは、ドイツ観念論の形而上学を拒絶し、一元論的唯物論という立場をとった。「民族精神」なんて範疇には懐疑的だ。それでも彼の思想には実証主義者にありがちな冷酷さはなく、自然や人間に対する信頼と愛情にあふれている。理由の一つは文学の影響でありそう。ロシアでは政治参加の道が限られていたため、才能のあるものは文学に頼らざるをえない。皮肉ではあるが、そのためロシア文学は哲学や政治思想をも含む豊かなものになった。それを読んで育ったクロポトキンもまた、ロシアの自然や民衆への愛情を育んでいった。2019/01/26

twinsun

5
太平洋戦争が終わったころには日本も電気も水道もない田舎はいくらでもあり、谷崎や三島の豪奢な上流階級の描写は別世界のものであったように、ロシア文学の著者と描写対象の生活水準の格差は途方もないもので農奴を解放がなされる時代背景でもがくインテリの悩みの歩みが克明に記載されている。まだトルストイも亡くなったころで19から20世紀にかけての作家の言葉を直に聞いた人が数多くいたころの時代に書かれた本書はその息吹を生き生きと伝えている。鼻や外套ももっと共感をもって読めそうだ。2023/03/18

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