岩波文庫<br> オブローモフ〈下〉 (改版)

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岩波文庫
オブローモフ〈下〉 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 252p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003260647
  • NDC分類 983

出版社内容情報

オブローモフは優しい純真な魂と非凡な才能をもっているが,実際的意力の欠けた青年で遊惰と無為の中に空しい日を送る.熱情的な少女オリガの純な愛に対してさえ,能動的な反応を示すことができぬほど行動の能力を封鎖されている.ロシア文学における無用者の典型をみごとに描ききったゴンチャロフ(1812‐1891)の代表作.

内容説明

病から癒えたオブローモフは、奸計によってあやうく経済的危機に追い込まれるところを、親友のシュトルツに救われた。…そしてついに、オブローモフは「潔白で真実な心」をそこなうことなく、「無用者」「余計者」として、静かに息を引き取るのだった。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

95
ロシア文学、それも150年前の作品をこんなに一気に読んでしまえるとは。今後の敷居が低くなったように感じる。さて、オズローモフは彼の親友が言っていたように、犬死だったのだろうか。確かに彼のために力を尽くした親友からすれば、せっかくの努力も泡となってしまったのだから悔しいだろう。しかし、オズローモフは好きに生きたのだ。誰もだまさず、卑しい駆け引きもせず、子供のような大人として。彼は、難しいことを言わないムィシュキンとは言えまいか。彼の方が本当に白痴に近い(愚か=idiotであるということ)のかもしれないが。2015/12/12

みつ

21
下巻まで一挙に読了。前回読んだのは学生時代で、無為に、しかし純真に生きたオブローモフに対し、こうなってはいけないと思いつつ親近感を覚えていた。43年間の職場生活を終えて改めて読み終えた今回は、こういう人生しか送れなかった彼にひどく寂しい気持ちを覚える。シュトルツの援助によって生活を持ち直したものの、全く違った形でその後の人生を送ることに。何もしないゆえの不摂生のもたらした結果は、やはり残酷なものになってしまう。終わりにザハールがもう一度登場し、本人たちは真剣でもユーモラスに映るかつてのやりとりがまた甦る。2024/12/01

Tomoko.H

11
オリガって、結構厳しいなあ。彼女と付き合うのはやっぱりがんばりやさんのシュトルツが相応しい。シュトルツの友情に足る善良さを持ち合わせていたにもかかわらず、『つまらない犬死に』。哀れなるかな、オブローモフシチナ!自分の靴下も自分で履かない幼少期から運命付けられていたのか。でも小アンドレイと、アガーフィヤの人生には意味をもたせたよ。2017/06/25

Nemorální lid

5
『人より知恵がたりないわけじゃないし、その魂といったら、水晶のようにきれいに澄み渡っていた。高潔で、しかも優しい男だったがーーそれが破滅に終ったのだ!』(p.252)という言葉こそ、主人公オブローモフの全てでは無かろうか。親友にさえ『お前は自分の時代を終ったのだ!』(p.234)と言われる迄の"オブローモフシチナ"を徹底し、そして人生にさよならを告げる主人公は確かに怠惰性こそ目に余るものであれ、本当は最も人間性を見抜いた慧眼の持ち主であったと思う。余りにも純潔な心の持ち主だからこそ、彼を憎めないのである。2018/12/29

100名山

4
発表された当時と現在では社会状況が大きく違い、この作品に対する解釈も評価も違うと思います。しかし今も読み継がれるということはそこに普遍性があるからであり、実は世の中の本質も変わっていないのことに驚愕するのです。人に勧められて読みましたが、とても良い作品でした。2019/05/28

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