出版社内容情報
小説『ドミニック』でフランス文学史に不朽の名をとどめるフロマンタン(一八二〇―七六)は,また同時に画壇に名をなす画家でもあった.本書は彼が敬愛してやまぬリュベンスやレンブラントら巨匠の作品を親しくその故郷の地にたずね,画面の前に立った印象を巧みな筆でつづった美術紀行.図版多数.
内容説明
フランス文学史に不朽の名をとどめる作家フロマンタンは、また同時に画壇に名をなす画家でもあった。リュベンスやレンブラントをはじめ敬愛してやまぬ巨匠の作品をその故郷の地にたずね、画面の前に立った印象を巧みな筆でつづる美術紀行。
目次
ベルギー(ブリュッセルの美術館;リュベンスの師匠たち;ブリュッセルの美術館のリュベンス;メヘレンのリュベンス;〈キリスト降架〉と〈キリスト昇架〉;アントヴェルペンの美術館のリュベンス;肖像画家としてのリュベンス;リュベンスの墓;ヴァン・ダイク)
オランダ(デン・ハーグとスヘーフェニンゲン;オランダ画派の起源と特徴;池;オランダ絵画の主題;パウルス・ポッテル;ルーヴル美術館のオランダ画家たち―テル・ボルフ、メツー、ピーテル・デ・ホーホ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
332
フロマンタンがこのフランドル絵画紀行の旅を敢行したのは1875年。画家や個々の絵画に対する研究や評価も、今とは違いがあるかもしれない。起筆はブリュッセルからだが、上巻の圧倒的な主役はルーベンスだ。私はプラド美術館にあるルーベンスの巨大なタブロー群を見て、感激よりもむしろ辟易した記憶がある。しかも、それらは工場のような工房で製作されたというので、なおさらありがたみが感じられなかったのである。しかし、本書で幾分かはルーベンスへの興味が喚起された。アントウェルペン大聖堂のルーベンス(フランダースの犬のあれ)⇒2019/02/09
KAZOO
104
この作品では、ベルギーとオランダにある美術館とその国の画家の作品を多くの図版とともに紹介されています。上巻ではベルギーのリュベンス(ルーベンスという人が多いのですが)の作品についての敷衍が多く楽しめます。オランダ編ではハーグとスヘーフェニンゲン(私も行ったことがあり日本ではスケベニンゲンという人が多いのですが)という街の説明から始まります。ルーブルにあるオランダ画家の作品を数多く紹介しています。2019/05/02
壱萬参仟縁
14
山岳風景≪トビアス・フェルハーヒト≫(43頁)。人物画が多い構成の一方で、この一枚は気になる。パノラマ風景画は16Cのフランドル由来の画法(訳注318頁)。独立不羈の強い個性。画風は、左下に馬と人。岩石に木々、川が九十九折になっているような感じ。カラーなら余計にわかりやすいが、モノクロ。白黒の方がリアルさがあるのかも。蘭画派:自然は舞台、人間が登場すると縮小、消滅してしまう舞台に過ぎないと考えられていた(223頁)。人間が自然を支配できる、という思い上がりか。一方で市民の絵画、繊細にもなった(224頁)。2013/10/01
あくび虫
6
書いてあることは中々に専門的なのですが、なんだか可愛い本です。どの章も、書き始めは平静なのですが、だんだん熱が入ってきて、自分の世界に没頭していくのがよくわかる。語りかけてきたり、かと思えば、頬を真っ赤にしながら聴き手も忘れて熱弁を揮いはじめる。もう、絵画が大好きで大好きでたまらないのだろうな、と感じます。素直な本。――それを、妙に達者できれいな文章につづっているところに、言い難い面白みがあります。2017/02/15
ユーディット
6
珍しく素直に同意できる内容。画家が美術について語ると、美術史家(歴史家)とか美学、芸術学の人といかに違うかというのが分かる。私は高校生の頃からこういうものを目指していた。名画と決まり切ったものに物言い、レンブラントでも気に入らない作品は駄作だといい、フェルメールなど名前すら出ない。続きはtutto-italia.seesaa.net2015/04/15
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