出版社内容情報
ノルマンディーの田舎町フェカンで,メゾンテリエ(テリエの家)というのは,つまりテリエ夫人が五人の女をつかって営む娼家である.町の名士たちも毎晩のようにかようという繁盛ぶり.ところがある晩のこと,「初聖体のため休業仕候」と貼り紙を出して突然の休業…….数あるモーパッサン(一八五〇‐九三)の中短篇小説のうち屈指の名作.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スプーン
35
信心から縁遠い人たちに訪れた、聖なるひと時。天使が彼らのアンテナに触れたのでしょう。小さな小さな奇跡に、読後ため息がひとつ。2022/02/19
壱萬参仟縁
20
1881年初出。適宜挿絵があって場面描写が想像できる。 「ジュール伯父」で、「金持の家庭なら、したい放題なことをする人間が出ても、 その男は『ばかな真似をした』だけで、みんなから道楽者と言われれば、あとは笑ってすまされる。 けれど食うや食わずの家庭では、両親の財産を減らしたような男は悪者であり、無頼漢であり、 やくざ者」(70頁)。親不孝者ということだが、自省してみると心もとない。 2014/03/09
駄目男
12
「メゾン テリエ」「聖水授与者」「ジュール伯父」「クロシェット」の4編からなる短編集だが、何年も前に岩波文庫に凝り、外国文学の短編集など沢山読んだが何一つ覚えてない。例えば同じモーパッサンの『脂肪の塊』などは欠片も記憶にない。「メゾンテリエ」なんかは娼館に努める女将と5人の娼婦の話だが読んだはなから忘れていってしまう。だから短編集はあまり読まないようにしているのだが。2023/12/31
YO)))
7
娼家を切り盛りするやもめのマダムが、名付け子である弟の娘の初聖体を祝うために、店の女たちを引き連れて田舎の村に帰省する。菜花が咲き乱れる田舎の風景の中を、負けじと花のように着飾った女たちが馬車で行く場面など、とてもフィルモジェニックで楽しい。(ラストの大団円?も)。店が休業になったと言って狼狽え右往左往する町の男たちや、マダムの遺産を当て込んで歓待しつつも、娼婦たちにアテられて羽目を外し過ぎてしまう指物師の弟など、生き生きとした女たちに比べて、男連中はどうにもぱっとしないのがなんとも。2012/06/04
ぱせり
6
踊る踊る、華やかにくるくると物語もダンスしているよう。コロコロと笑い転げるように、踊るように軽く読み進めていく、かな、と思っていたら痛烈な皮肉。メゾン テリエのめんめんは娼婦である。なのに、不思議な清らかさ、純粋さを感じて、むしろ、そうではない周りの人たちのほうが下劣で滑稽に思えた。2011/11/12
-
- 和書
- 森は今 - 句集
-
- 電子書籍
- レヴィアタンの恋人4 ガガガ文庫