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岩波文庫
感情教育〈上〉 (改訳)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 401p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003253830
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

出版社内容情報

十九世紀も半ば,二月革命に沸く動乱のパリを舞台に多感な一青年の感情生活を描く.小説に描かれた最も美しい女性像の一人といわれるアルヌー夫人への主人公の思慕を縦糸とし,官能的な恋,打算的な恋,様々な人間像と事件を簡潔な筆で絡ませてゆく.ここには,歴史の流れと或る人間の精神の流れが,見事に融合させられている.

内容説明

19世紀も半ば、2月革命に沸く動乱のパリを舞台に多感な青年フレデリックの精神史を描く。小説に描かれた最も美しい女性像の一人といわれるアルヌー夫人への主人公の思慕を縦糸に、官能的な恋、打算的な恋、様々な人間像や事件が交錯してゆく。ここには、歴史の流れと人間の精神の流れが、見事に融合させられている。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

277
上巻は400頁に及ぶが、およそプロットの変化には乏しい。この間、主人公のフレデリックは典型的な高等遊民を貫き、職に就くわけでもなく、またアルヌー夫人への恋も一向に進展を見ることもない。むしろ彼をそうした状態に置くことで、様々な社会階層を描くことに作家フローベールの目的があったと言うべきか。ここでは、ダンブルーズ氏をはじめとしたブルジョワジーに対するフローベールの徹底した嫌悪もまた見てとれる。それは貴族階級にも、またその反対に持たざる者たるデローリエ等にも、ロザネットのような高級娼婦のサロンにも及ぶのだが。2015/12/24

かごむし

30
10ページも読まないうちに疲れて休憩が必要だった。そうして何度も本を開いて、400ページほどの上巻を読み終えた感想は、いったいこれは何を読まされているんだろうというもの。舞台の光に照らされている登場人物は、強めに言えばみんなバカばっかりだ。それもどこか憎めないとかではなくて、どうしようもないなと吐き捨てたくなるような人たちばかり。愚かで、泥くさくて、美しくなくて、でも、これが人間だよなあと、突き放せない気分になる。読んだ分の充実感というのがあって、すごい小説に出会ったのはわかる。下巻では何をするんだろう。2019/05/14

壱萬弐仟縁

29
1864-69年初出。 「工芸美術」はパリの中心地点。 便利な集まり場所、敵同士が 親しくひじをつき合わせられる 中立地帯(56頁)。 現代でもこのような場づくりは 急務だと思う。 暮らしの苦しみが加わるにつれ、 それを社会制度のせいにして、 金持をのろっていた(143頁)。 そういう登場人物には共感する。 政策、制度、法律が人びとの 暮らしを良くしないなら、 なんのためなのかと思うので。 貧乏が、かえって才能を百倍 にすることもある(149頁)。  2014/06/11

syaori

27
7月王政の時代、人妻に恋するフレデリック・モローの物語。上巻ではフレデリックが、貞淑で美しいアルヌー夫人に惹かれる様子が描かれます。蓮っ葉なロザモンドや貴婦人としての美しさを備えたダンブルーズ夫人に心惹かれたりしますが、寄せては返す波のように一旦は引いても結局彼の心はアルヌー夫人に戻っていくのです。また友情も、親友で野心家のデローリエ、素朴な労働者デュサルディエ、社会主義者のセネカル、貴族的なシジー、上流階級に入り込むマルチノンなど様々な青年たちの間を逍遥します。この思いと交流は彼をどこ導くのか。下巻へ。2016/10/06

松本直哉

23
よく言えば多感なのだろうが、フレデリックの生き方はふらふらしていて、ふりまわされて、結局どっちつかずになってしまう。二月革命前後の激動の時代の中で、共和主義者に共感しながらも、自らの出世のためには資産家に取り入る。政治的野心もあり、選挙に立候補というチャンスもあったのに、ふいにしてしまう。恋愛でも、美しい人妻アルヌー夫人に一目惚れして、一直線なのかと思えば、故郷の幼馴染や資産家の奥さんや遊び人風の女の子に浮気をして、いったい誰が本命なのかわからない。人柄に不誠実なものを感じてしまった。2015/01/05

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