岩波文庫
森の小道・二人の姉妹

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  • サイズ 文庫判/ページ数 339p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003242247
  • NDC分類 943
  • Cコード C0197

出版社内容情報

つつましやかで静謐な,シュティフター(1805-68)の作品世界は,その精緻な自然描写と相俟って,深い感銘を読者の心に残すにちがいない.心温まる佳篇「森の小道」と,本邦初訳の「二人の姉妹」の2篇を収録.

内容説明

つつましやかで静謐な、シュティフターの作品世界は、その精緻な自然描写と相俟って、読者の心に深い感銘を残すにちがいない。「習作集」の中から、夢見心地を誘う、心温まる佳編「森の小道」と本邦初訳の「二人の姉妹」の二篇を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

71
「森の小道」大金持ちゆえに愚かしい育てられ方をし、周囲の人々から大馬鹿者と呼ばれていたテオドールが、いかにして立派な人間となりえたか。それは、あまりにも当たり前のことだった。でも、その当たり前のことを、意外と分かっていない人が多いのかもしれない。「二人の姉妹」主人公がウィーンで知り合ったリカールの、田舎暮らし。二作品とも、自然描写が美しい。貧しくとも実直な人々の穏やかで堅実な暮らし。シュテフターが描く田舎暮らしは、美しい詩、そのものだ。2019/06/07

KAZOO

66
私はドイツ文学は比較的好きなのですが、シュティフターの作品についてはあまり印象はありませんでした。読んでみて非常に自然をうまく表現していて読んでいて心が落ち着く感じがしました。二つの作品が収められているのですが、両方ともにストレスなく最後はうまくおさめている気がしました。この筆者は自然描写が優れていると思うのはおさめられている筆者の挿絵が素晴らしいのにも感動しました。2015/07/18

ダイキ

8
『保田與重郎全集』の月報の中で、保田與重郎が学生時代に読んでいた作家のひとりとしてその名を保田の旧友が挙げていたのを読んだ事が切っ掛けで興味を持ち、読んでみました。文体が非常に私の好み。自然はもとより、ひとや自分自身、何よりもこの世界そのものに対する愛情を一層深める事が出来る、そんな作品。憂鬱な時や物悲しい時よりも、幸福感に充たされている時に読むと猶良いと思う。「芸術家は、ただ一人で、自らの沈潜する芸術作品の繊細な深みを極める事が出来ると共に、それに魂を捧げなければならないのである」2016/09/11

tieckP(ティークP)

7
森の小道は、シュティフターにしてはユーモアが効いている。とはいえ、ひとたび人物を森に山に彷徨わせてしまえば、比類無きシュティフター・ワールドが発動して、文字における頂点の自然描写で読者を酔わせてしまうのだから、ずるい。二人の姉妹も自然描写と理想的な農業と小家族の描写がたまらない。「晩夏」の縮小版という気がするので、あちらがさすがに長すぎるというひとにもオススメできる。ときおり見せる地の文での芸術論から、彼が芸術家の心情にも非常に詳しかったことが窺える。何にせよ、彼ほど換えの効かない作家は他にいないだろう。2014/06/06

ラウリスタ~

7
またシュティフター。やはり安定の素晴らしさ。牧歌的なんだけど、愚かさとは無縁であり、自然のなかに憩いつつも、そこに住む人間との交流に主眼が置かれる。文学史の教科書に載るような事件を起こしたわけではないにしろ、良い小説を書くという点に関して言えばドイツ文学でもトップクラスになるのでは。絵を描くシーンが多いのだが、作家自身も絵を趣味として描いていたそう。この表紙の絵もそうらしい。彼の人生と当時の世界情勢の悲劇性とはまったく無縁に、のどかで幸せな物語をつむぎだした。2012/02/17

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