出版社内容情報
ある日突然,商船「人権号」から軍艦「軍神号」へ強制徴募された清純無垢の水夫ビリー・バッド.その彼が,不条理で抗いがたい宿命の糸にたぐられて,やがて古参兵曹長を撲殺,軍法会議に付され,死刑に処されようとは…….孤絶のなかで沈痛な思索の火を絶やさなかった『白鯨』の作者メルヴィル(一八一九‐九一)の遺作.
内容説明
ある日突然、商船「人権号」から軍艦「軍神号」へ強制徴募された清純無垢の水夫ビリー・バッド。その彼が、不条理で抗いがたい宿命の糸にたぐられて、やがて古参兵曹長を撲殺、軍法会議に付され、死刑に処されようとは…。孤絶のなかで沈痛な思索の火を絶やさなかった『白鯨』の作者メルヴィル(1819‐91)の遺作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
34
軍艦「軍神」の乗組員となった「花の水兵」ビリー・バッドの物語。不思議な余韻が残り、そこが魅力だと思います。印象的なのは、やはりクラッガートとの対決からビリーの死までの一連の場面。特に死に際してのビリーの清浄さです。ビリーの死はアブラハムが息子イサクを生贄に捧げる聖餐の秘儀にも模されていて、その後その聖餐の秘儀を信じた艦長も戦闘中、銃弾に斃れてしまうのですが、しかし無垢なビリーが「茜の空のバラを一身に浴びた」時確かに秘儀は行われたのであり、物語の不思議な魅力もここからくるのではないかと思ったりしました。2016/12/22
chanvesa
31
158頁の「市に対する非合理な恐怖観念が彼(ビリー)には全的に欠けていた」ことが、「ビリーは根源的には野蛮人だった」と言える。「この種の非合理の恐怖観念は、高度文明化された社会に遥かに多く流通している」がゆえということになろう。純真無垢は、前世紀的な野蛮さを持ち合わせているということは感覚的に理解できる。そして、この文明に身を置くほど、理性は懐疑的に分解され、「『羨み』が主導動機になる」(74頁)。心理的な衝動が人を突き動かすことを、技術で巧みに実施し、差別や全体主義が膨れ上がる。2025/11/24
やいっち
26
本文そのものは180頁ほどなのに、最初は戸惑うことばかりで、日に30頁を読むばかり。途中から小説らくなって、後半は一気に読めた。 戸惑った理由は、訳者の坂下氏の注釈が凝っていることと、訳の本文がいかにもメルヴィル的で突っかかることばかりなのである。 彼の小説はどれもだが、この遺作は、旧約聖書やメルヴィルの尊崇する作家が随所に言及され示唆され、それらに拘りだすと、前に進まないのだ。 2018/11/24
しんこい
9
マンガのビリーバットとは何の関係もありませんでした、当たり前か。船をのり移ったビリーが何をやるのかと辛抱しながら読んでいると、突然事件が起こって終幕。ヒーローでもなく、悲劇の主人公とも思えず、いったい何の話だったのか、という感じです。2014/07/24
ラウリスタ~
7
やっぱりメルヴィルって学に対するコンプレックス強いな。なんでもない場面でもみょうに説明、教育口調になってしまう。だから、現代人からすろと、そんなことはわかってるからさっさと話進めろやって思ってしまうような場面も。注はほとんど読まなかったが、なんやかんやいろんな方面への目配せってのがあるようだ。とはいえ、あんまりにも無理矢理なストーリーについていけねえってのが本音。白鯨と比べるとね・・・2013/08/24




