出版社内容情報
三蔵の凶星はいまだ消えず.ひとり無底洞にさらわれ,唐僧と夫婦のちぎりを結ぼうとめかしこんだ女怪になまめかしく迫られる.ようやく難を逃れた先は滅法国.そこでは和尚1万人を殺すという国王の願掛けが,あと4人でめでたく満願になるところだという.一行は頭巾であたまをつつみ,長持にもぐりこんで一夜を過ごす.(全10冊)
内容説明
三蔵の凶星はいまだ消えず。鎮海禅林寺でわずらいつくとすっかり気弱になり、遺言まで書きだす始末。またも弟子たちに手を引かれ、ようようたどりついた滅法国では、和尚一万人を殺すという国王の願かけが、あと四人で満願になるところであった。改版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
135
またしても女怪に狙われた三蔵。せっかく「さても唐三蔵、その元陽の精を漏らすことなく、めでたく女色の誘惑からのがれました。かくて、孫悟空たちを従え、西へ西へと進みます」って書かれたあとなのに。そして、なんとか貞操の危機を切り抜けるも、残りはあと1巻。果たして辿りつけるやら…。 とにかく、この中野さんの訳文は、脳内で落語家柳家三三の語りに置き換えて読むと、ススッと入って読み心地がいい。2017/10/03
セウテス
56
三蔵法師が旅に出て14年が経って、遂に一行は天竺の隣国までたどり着いた。RPGのゲームでは、ラスボスの周りは強い敵がうようよなのだが、天竺の周りでも妖魔がいるとはどういう事なのか。これがお国柄と言う事なのか、偉大な仏教の経典を受け取りに来た旅にも関わらず、それほど大切なものであるという感じがしない。むしろ、三蔵法師の81の苦難を受けさせる為の、旅の目的手段くらいに思えてくる。そう言えば悟空の三面六臂の姿は、アフラ・マズダの姿と重なる。道教を意識した設定もあり、色んな宗教が混雑するまるで現代のゲームの様だ。2018/01/20
mii22.
46
(第八十一回から九十回)ふむふむ、三蔵は西天取経の旅で八十一の難を受けなければならないのか..。肉眼凡胎の三蔵は大事な時にいねむりなんかしちゃうんだね。赤眼金睛(あかめ)の悟空には何でもお見通し。三蔵もやっと悟空の働きをちゃんと認めたね。女怪には夫婦になろうと迫られ、妖怪にさらわれ縛られ食べられそうになるのもあと少し、いよいよ天竺との国境までやって来ました。三蔵はちょっと病気になったら、遺言まで書いちゃうとは相変わらず弱気なこと。ここまで来ると八戒のおたんちんぶりも笑って受け流せるわ。次はいよいよ最終巻。2017/02/04
NAO
44
81回で、三蔵の本来の出自と彼が本性に戻るために81の難を受けなくてはいけないことが明かされる。三蔵の旅は仏教の取経のための旅と言いながら、『西遊記』の話は道教的なものが多く、陰陽道の影響も強い。悟空を「心猿」「金公」、八戒を「木母」、沙悟浄を「土」と表記している箇所があるのは、五行の彼らの属性を表したもの。悟空が困ったときよく太白金星に相談に行くのは、彼の属性が金だから。これは、中国が仏教国でありながらも、実はそうでない部分も多かったということを表しているのだろうか。2016/02/14
ビイーン
27
9巻も三蔵の苦難は続く。第81回で明らかにされた苦難の原因が、三蔵が如来の説法の時にうたたねして、うっかりやらかしたミスだったとは。仏門はなんて厳しいのだろう。解説によれば、西遊記は数字が(特に9と7)が重要な役割を果たしているという。退治された9頭獅子もそうだね。そして、ついに天竺の国境までたどり着く。三蔵の口からここまで来るのに14年かかったのが判った。悟空も成長して立派になっていく。残すは10巻のみ。2020/10/17
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