出版社内容情報
西郷隆盛を担いだ士族らの大規模な反乱、西南戦争。本書は、その発端から西郷の死までの八カ月間を、日々の新聞報道を元に絵入り読み物としてまとめ直した同時代の記録である。西郷らと官軍との対峙を克明に描き、興味深い。
内容説明
明治十年一月末、西郷隆盛を担ぎ鹿児島・私学校の生徒たちが蜂起した。西南戦争の始まりである。新政府に不満をもつ士族らの大規模な反乱は、八カ月後の西郷の死まで、日々新聞で報じられた。それらを絵入り読み物としてまとめ直したのが本書である。小林清親の挿絵とともに、西郷らと官軍との対峙を生きいきと伝える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蔦屋重三郎そっくりおじさん・寺
86
さほど期待せずに読んだが面白かった。リアルタイムで西南戦争はどう伝えられていたか。新聞記事を元に、当時軍記物で鳴らした著者が書いた西南戦争だが、さすがの名調子で講談の様に読める。デマや誤報も混じっているが、面白いのでズルズル読める。光線画でお馴染み小林清親の挿絵入り。清親は人物が下手だと思っていたが、この挿絵はまぁまぁ上手い(普通とも言う)。のちの光線画の手法の萌芽もあり興味深い。著者は人物への興味は乏しいのか、ヒューマンインタレスト些少の軍記。薄い本なのでお薦め。鹿児島戦争か。日本最後の内戦だもんな。2018/09/20
ikedama99
10
新聞で本の紹介があったような・・。文章は読みやすくはないが、雰囲気というか臨場感はあった。絵も江戸から明治への過渡期のような絵だった。内容としては、官軍側の動きも近代的な動きがあって、西郷側とは違うことを感じる。西郷隆盛中心でこの戦いをとらえたくなるが、九州以外での出来事や人の話題などから考えると、士族の最期のあがきを形にしてみせた戦いではなかったのかとも思えた。不平士族を導いての集団での自裁みたいなものだろうかとも。テロというよりも、やはり大きな内戦だったのかなとも思う。2022/09/03
穀雨
7
西南戦争を、当時の新聞報道をもとに講談調に描いた同時代作品。古風な文体で初めは慣れなかったが、声に出して読むと韻を踏んでいる箇所も多く楽しめた。篠原国幹や野津鎮雄など、薩軍・官軍の将の活躍ぶりはまさに一騎当千、時代小説の主人公のようで、近代化が緒に就いたばかりの時代の空気を感じ取ることができた。2021/06/30
Ucchy
3
当時の新聞記事を元に講談調で西南戦争を描く。「万山此所に崩壊(くずるる)か、百雷一度に落るかと思うばかりの震動にて、大地たちまち破裂なし、黒煙起って暗夜にひとしく、炎いち面に燃あがり、砂石八方へ散乱す。」みたいなオーバーな表現が面白い。メインの戦争経過も面白いが、風聞の類への脱線話も面白い。本筋でないエピソードが妙に詳しいのも可笑しい。2019/01/17
Eiji Nanba
3
大河ドラマの影響で購入。講談調の語り口で西南戦争の顛末を記す。著者は同戦争当時の新聞記事をもとにこれを著している。小気味良い、リズム感のある文体に乗せられ、一気に読了でした。2018/09/24