出版社内容情報
文豪乱歩の世界を集成.第Ⅰ巻は「愛のゆくえ」.人間を踏み越えた人外の世界にこそ,愛がある.同性愛,人形愛,嗜虐愛が,存分に語られる.「接吻」「日記帳」「人でなしの恋」「蟲」「孤島の鬼」の5篇を収録(全3巻).
内容説明
日本探偵小説の開拓者にして第一人者であった江戸川乱歩の作品をテーマ別に精選する。第1巻は“愛のゆくえ”。臆病な愛。モダンな愛。裏切りの優しさと、優しさの酷薄。憧れの強さは殺意を生み、人を異形の存在に変える。「日記帳」「接吻」「人でなしの恋」「蟲」「孤島の鬼」の5篇を収録する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かわうそ
37
当時は珍しかったであろう同性愛風味と、現代の目で見れば不適切な内容を含むフリークショー的残酷描写が盛りだくさんに絡み合う「孤島の鬼」だけでおなかいっぱい。初めて読んだけどこれは面白かった。2018/03/05
風柳
33
蟲が本当に気持ち悪すぎる2024/11/06
しんすけ
16
乱歩は小学生のころから読んでいて高校生のころは春陽堂の乱歩著作集を読破したが、本書収録先品はすべて初読だ。 どちらかといえば純文学的な雰囲気もあるから、大衆向け出版社だった春陽堂が敬遠したのだろうか。 「心理試験」「D坂の殺人事件」「人間椅子」「 押絵と旅する男」なども大衆向けとは云えないと思うのだが、春陽堂は収録していた。 アンソロジーは編集者の興味が前面にでるものだから、それを問うても仕方ない。しかし収録作品の全作がすべて初読というのはあまりにも意外だった。2020/10/13
浅香山三郎
14
『江戸川乱歩短編集』からの流れ。探偵小説の枠に留まらず、幻想的・猟奇的な想像力を駆使した不思議な作品を収める。「蟲」「孤島の鬼」の怪奇さ、猟奇さが乱歩の真骨頂といふ感じをうける。戦前のエログロ・ナンセンスな文学潮流の流行と、乱歩を受容した読者層の存在に、大正期・昭和初期の不思議なモダンさを感じざるを得ない。2023/07/08
K
8
愛のゆくえをテーマにした乱歩の作品集。「日記帳」「接吻」「人でなしの恋」「蟲」「孤島の鬼」の5篇。短編もそれぞれ楽しめたのですが、なんと言っても、長編の孤島の鬼が秀逸でした。密室殺人に暗号解読、復讐、嫉妬、同性愛…などなど、心躍るキーワードが山盛り。途中で飽きさせることなく一気に読ませてくれます。現代でも色褪せない乱歩ワールドが堪能できる1冊です。2020/11/07