出版社内容情報
山伏姿に身を変え奥州へ落ちゆく義経主従。その前に安宅の関が立ちふさがる。関守富樫の厳しい詮議と追及。弁慶がこれを大胆不敵に退け、一行は辛くも虎口を逃れる。市川海老蔵(七代目団十郎)天保十一年初演の演目を、明治の「劇聖」九代目団十郎が端正な一幕劇として昇華させ今に伝わる、歌舞伎十八番屈指の傑作狂言。
内容説明
山伏姿に身を変え奥州へ落ちゆく義経主従。その前に安宅の関が立ちふさがる。関守富樫の厳しい詮議と追及。弁慶がこれを大胆不敵に退け、一行は辛くも虎口を逃れる。市川海老蔵(七代目団十郎)天保十一年初演の演目を、明治の「劇聖」九代目団十郎が端正な一幕劇として昇華させ今に伝わる、歌舞伎十八番屈指の傑作狂言。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
65
歌舞伎の十八番とされる『勧進帳』。その脚本が読めるとは嬉しや。源義経が奥州へ向かっているという情報を得て警戒する安宅の関守たち。義経と見做した者の首を晒す関守に対し、主君が関を越えるのを邪魔するなら一戦見える事も辞さない覚悟の義経一派。一触即発の状況下での義経・弁慶の機転と疑いを突き付ける関守との応酬はスリリングだ。特に弁慶の心の血を流しつつも主君を助ける為の機転、その心を汲む義経との遣り取りには漢泣き。そして悟りながらも義経一派を逃す富樫の心は人として、主君の為に真の忠義を為す者への敬意に満ちていた。2021/06/12
uburoi
2
2017年12月に高麗屋三代襲名というのがあった。翌年の正月は襲名公演で十代目幸四郎が弁慶を演じて、富樫が吉右衛門だった。染五郎は義経。その公演の録画があったものだから、舞台観ながら台本を照らして読んだのだ。弁慶が酔って延年の舞を踊る時に「舞延年の時の和歌」と字幕にあったが、本書では「和歌」が「若」とある。岩波古典文学体系98の「歌舞伎十八番」「勧進帳」が底本で郡司先生の解説もまんま掲載されているのが嬉しい。詳細な演出注が労作で、幸四郎の舞台で必ずしもこれに従わないところを探すのもまた愉しみ。2021/11/08
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- 和書
- 隔ての島とのはざまで