出版社内容情報
うづら鳴く真野の入江のはまかぜに尾花なみよる秋のゆふぐれ――(源俊頼)。白河院の院宣、撰者・俊頼による五番目の勅撰和歌集。天治元(1124)年、奏覧されるが、時代の変動を反映するように、院と撰者で歌の観方が相違したため、三度に渉り改編されて奏上された。平安末期の和歌の変革期をよく表している。改版
内容説明
うづら鳴く真野の入江のはまかぜに尾花なみよる秋のゆふぐれ―源俊頼。『後拾遺和歌集』に同じく、白河院が天治元年(1124)に院宣を下した五番目の勅撰集。俊頼が撰者。時代の変動を反映するか、院と撰者の和歌観の相違か、歌集の奏上は再度却下され三度に及んで嘉納された。院政期における和歌変革を顕著に表す。
目次
巻第一 春部
巻第二 夏部
巻第三 秋部
巻第四 冬部
巻第五 賀部
巻第六 別部
巻第七 恋部上
巻第八 恋部下
巻第九 雑部上
巻第十 雑部下
補遺歌
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
51
古典を学ぶようになった頃から和歌に苦手意識があります。印象としては、恋の歌が多く、表現がまどろっこしい上、知識がないと掛詞の意味を取り違えたりしていたからです。初めて枕詞入りの和歌に出会った時は「この言葉の意味は何なんだろう」とずっと悩んでいました。和歌を即興で作れた平安時代からの人々は韻律と含蓄の神様に愛されているに違いない。この金葉和歌集に収録されている歌(特に四季関連)は目に浮かぶかのように意味を取りやすい言葉が使われていて安心しました。名前だけ、知っている千載和歌集も読もうかな・・・。2023/12/17
双海(ふたみ)
13
白河院の院宣、撰者・俊頼による五番目の勅撰和歌集。天治元年、奏覧されるが、時代の変動を反映するように、院と撰者で歌の観方が相違したため、三度に渉り改編されて奏上された。平安末期の和歌の変革期をよく表している。マイナーな和歌集をどんどん出してほしい。岩波書店がんばって。2024/03/07
Fumoh
3
和歌の教養はないが、詳しく解説が載っているため、前提知識はほとんど要らないと思われる。景物をストレートに読んだ歌が多く、親しみやすさがある。緑の松の裏に透けて見える、桜の花が美しいといった、着眼点が素晴らしいものもある。恋歌もあるが、これは当時の習俗やら連想物が分からないと読み解くことは難しいのは相変わらず。素朴な自然を詠んだ歌は、ときどきハッとさせられるものもあります。丁寧な解説に感謝。2023/12/31