出版社内容情報
現代社会における非人間的状況を象徴するキーワード“疎外”――若きマルクスの疎外論とテンニエスのゲゼルシャフトの分析に注目して,現代資本主義の社会構造に疎外の根源を求め,人間性回復の道を探る哲学入門.
内容説明
現代社会のあらゆる局面に蔓延する非人間的状況を象徴するキーワード“疎外”―若きマルクスの疎外論とテンニエスのゲゼルシャフトについての分析に注目して、現代資本主義の社会構造に疎外の根源を求め、疎外は克服しうるかという問いに答えようとする。1960年に岩波新書として刊行され好評を博した人間解放への哲学入門。
目次
第1章 われわれの時代のムード 人間疎外の意識
第2章 技術と疎外
第3章 政治と疎外
第4章 社会構造と疎外
第5章 回顧と展望疎外は克服できるか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ああああ
4
本書の主題は人間の――とくに近代の人間の疎外についてである。疎外という言葉はわが国でもすでに流行語に近いものになりつつあるが、読者のためにここで簡単にその意味を説明しておこう。この言葉はドイツ語の Entfremdung (外化 Entäusserung という語がこれと同じ意味に使用される場合もある) の訳語で、英語の文献では alienation または estrangementという語があてられている。哲学的な用語としては自己にとってよそよそしい、別なものになる、ならせられるということであり、2024/09/13
武井 康則
0
出版は1960年。ちょうど実存主義の元気な時。近代が最盛期で社会の形が大きく変わっていった時。疎外論も全盛だった。外から見れば今こそ疎外の条件は満ちているが、もうそんなことを言う者はいない。巻末の解説は今村仁司で簡潔分かりやすくその頃の状況とこの本のまとめがある。2017/06/05
星規夫
0
近代人の関心は「従属させること」にある。虚しい。虚しいが、そういう枠組みから抜け出すことは至難の業だろう。自らの人生を省みなければ。2013/01/28
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