出版社内容情報
文字や絵文字,多種多様な記号を愛用したクレー.その絵の魅力を「書物」として解読する.ソシュールの言語学,記号学や書物論などと重ね合わせ,クレーの造形思考の記号論的急進性をときあかす斬新な論考.訳し下し.
内容説明
線・文字から符号・絵文字に至るまでの多種多様な記号を愛用したクレー。その詩的絵画と象形文字的作品の魅力を「書物」として解読する。ソシュールの言語学、記号学や新しい書物論など20世紀の文化潮流を重ね合わせ、クレーの造形思考の記号論的急進性を明らかにする。気鋭の美術史家2人による斬新なクレー論。本邦初訳。
目次
意味のかけらの宇宙―パウル・クレーの音節について
パウル・クレーと書物のイメージ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えこいのさん
1
ラング/パロール=分割/非分割の差異のうちに意味が生じるという構図じゃちょっと単純すぎるし、静的すぎるなぁと。『黄昏の中の建築』の驚きは「斜線」というより、縦横の分割線の「ゆがみ」にあるわけで、それは分割が既に非分割であり、コンテクストがすでにn乗化されていることへの驚きだろうと。機械的なマス目がすでにn乗されていること、かつn乗化されたコンテクストが幾通りものコンテクストに内部分割されうること(タブロー上の自由)、タブローの上に拡がるコンテクストの島にそれぞれ斜線を引いてみること(島上の自由)2011/04/04
のほほんなかえるさん
0
コンテクストとか意味とか、いわゆる通俗的な概念を排除した先に本筋はあるように見受けられた。ソシュール系の「わたし分析してますよ~的なノリ」に目を奪われないように気を付ける必要がある。2011/07/07