出版社内容情報
15歳で死んだトーマス。元恋人のオルフェー、母親、衰弱した祖父には、まだ彼の姿が見える。一方、トーマスも、思い出にしばられるオルフェーや、崩壊しそうな家族のようすを、静かに見守っている。人は大切な人を失ったとき、どう立ち直ってゆくのか、「生」の喜びとは何かを描く。
内容説明
大切な人を失ったとき、人はどのように立ち直ってゆくのか―。トーマスは15歳で死んだ。元恋人のオルフェー、母親、祖父には、まだ彼の姿が見える。トーマスも、現実を受けとめきれないオルフェーや、崩壊寸前の家族を静かに見守っている。愛と悲しみ、過去と現在が、重層的に織りなす物語。
著者等紹介
デ・レーウ,ヤン[デレーウ,ヤン] [De Leeuw,Jan]
1968年、ベルギーのアールストに生まれる。心理学を専攻。大人のための作品や青少年向け戯曲を発表したあと、2004年『羽の国』で青少年文学の作家としてデビュー。この作品で「本の子どもライオン賞」、翌年『夜の国』で「金のフクロウ・若い読者賞」を受賞
西村由美[ニシムラユミ]
東京外国語大学英米語学科卒業。1984~86年、オランダ在住。帰国後、外務省研修所などでオランダ語を教えるとともに、オランダ語作品の翻訳に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
23
15歳で亡くなってしまった少年の視点から、祖父、母、恋人それぞれのその後を描く。2017/11/04
Olga
3
15歳で死んでしまった少年トーマスと、トーマスの姿をまだ見える恋人、母、祖父。それぞれの視点で語られる。大切な人の死をいかに受け入れ、乗り越えていくか。でも、乗り越えないという選択肢もあるよなあ……。2017/08/11
ゴ
3
残された人のことをすごく丁寧に書いていて、特にお母さんのところが良かった。死んだ主人公が見える、という設定も文章が幻想的で詩っぽいので全然違和感がないです。こういう雰囲気が好きな人はすごく好きなんじゃないかしら。 私はもう少し主人公を書いてほしかったなあ。意外と暗い(題名のわりには)。 私だったら表紙はパルテルカラーじゃなくて深緑にします。2017/05/24
黒崎ディートリッヒ
2
15歳で死んでしまったトーマス。死者となった彼は、彼が死んだことを受け入れられないカノジョのオルフェーや、彼の死から立ち直れない母と、崩壊して行く彼の華族をただ見守るように見つめ続ける。 幽霊少年の物語、ベルギー発。ベルギーの小説か・・・・なんかやっぱり、アメリカやイギリス、その他西ヨーロッパの物語と比べてとっつきにくい気がする。と思いながら読んでみると、結構面白かった。ゴーストもの、というファンタジーですが特に派手な演出はなく、ただトーマスの祖父が語る物語が、不思議な幻想を語っているようでした。2014/05/06
ひとみ
1
交通事故で死んだ少年の視点から語られる、息子の死から立ち直れない母、少年が死んだことに罪悪感を持っている恋人、物語ることが上手いがその物語のせいで娘との仲をこじらせた孤独な祖父の物語。死者の目線からの語りや祖父の語るおとぎ話などがもたらすファンタジックな効果で、三者の傷ついた内面を柔らかくまとめあげている。読み口や雰囲気は優しくて希望を感じさせてくれるが、小説の中で起こったことは耐え難いほど痛ましい。2014/08/30