出版社内容情報
苦難の歴史を持つチェコの人びとに長く愛される、知恵と勇気に満ちた昔話を集めました。独特のぶきみな雰囲気がただよい、深い味わいや骨太の面白さが伝わります。きつねの導きで王子が宝物を手に入れる表題作、切り株の赤ちゃん「オテサーネク」、妖精にさらわれる「スモリーチェク」など、選りすぐりの24話。
内容説明
切り株の赤ちゃん「オテサーネク」、妖精にさらわれる「スモリーチェク」、ふしぎな「水の主ヴォドニーク」…ちょっとぶきみでおもしろい、味わい豊かなチェコの昔話。大切に語りつがれる、知恵と勇気に満ちた24話を選びました。小学4・5年以上。
著者等紹介
木村有子[キムラユウコ]
東京生まれ。1970年代にプラハの小学校に通う。日本大学芸術学部卒業後、1984~86年プラハ・カレル大学へ留学。新聞社勤務の後、1989~94年ドイツのフランクフルト大学、ベルリン自由大学でスラブ語圏の言語を学ぶ。80年代に字幕翻訳を始める
出久根育[デクネイク]
1969年東京生まれ。武蔵野美術大学卒業。2003年『あめふらし』でブラチスラヴァ世界絵本原画展グランプリ受賞。2006年『マーシャと白い鳥』で日本絵本賞大賞受賞。プラハ在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
57
ロシアの御伽噺やグリム童話などと大筋が似ているものもあり、昔話の奇妙な繋がりにますます、不思議な気持ちになります。「オンドリとメンドリのお話」でのどんどん、長くなっていくメンドリの説明はthe house that Jack builtやmaypoleみたい。そしてヤン・シュヴァンクマイエル監督の作品の原案となった「オテサーネク」も収録。でもこの本のオテサーネクの絵が怖い!子供の頃に読んでいたら確実にトラウマになるわ。そして「おじいさんの物々交換」のような過分な幸福を是とするような終わりじゃない話が良い2023/08/06
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
17
チェコの昔話24話 出久根育さんの挿絵がピッタリ。 『 題名のないお話 / 小さないえがあったとさ / オンドリとメンドリのお話 / スモリーチェク / おやゆびこぞう / ペルニークのおうち / おじいさんの物々交かん / のっぽ、ふとっちょ、千里眼 / イタチの王さま / 三人の糸つむぎのおばあさん / 火の鳥ときつねのリシカ / オテサーネク / 見つかったお姫さま / 十二の月 / ものしりじいさんの三本の金色の髪 / いじわるな妖精 / 水の主ヴォドニーク →2021/10/11
mahiro
15
チェコの昔話はいつかどこかで読んだような話が沢山詰まっていた。ロシア風な『十二の月』やグリム童話風な『七羽のカラス』、 ヘンゼルとグレーテルに似た『ペルニークのおうち』、ペルニークとはチェコの人達に馴染みの深いジンジャークッキーだった。人の交流があり色々な国の民話が混じり合い、その国独特の味付けになる、子供のない夫婦が拾って育てた木の根っこのオテサーネクが親を始め人や動物を次々丸呑みにしていく話は少し不気味で、昔の子供たちがドキドキしながら聞いていて最後にほっとなる様子が目に浮かぶ。2021/06/15
mntmt
14
とても読み応えがあります。出久根育さんのイラストが綺麗。2021/10/27
timeturner
8
スラブ民族に共通する話が多く、どれも読んだ覚えのある話だが細部が微妙に違い、そこが面白い。プラハ在住の出久根さんの絵がチェコらしさ満載で楽しさを増している。表題作はロシア民話では狼だったな。2021/05/29