出版社内容情報
ハンバーグ店「ジュージュー」にはおかしな人々が集う。朝倉世界一のマンガにインスパイアされて書かれた、ささやかで美しい物語。
内容説明
下町の小さなハンバーグ店に集う、おかしな人たち。みんなちょっとずつ何かが欠けていて、つながりあって、ひとつの命になっている。世界の美しい色を回復させる、滋養たっぷりの小宇宙。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
168
さすが「ばなな」さん、食べ物ネタでコラボさせたら右に出るものはいないと思わせてくれる素晴らしい‘満腹’作品でした。ステーキ「ジュージュー」を舞台に繰り広げられる人情劇場は「ばなな」さんならではの物語で、普通に平凡な日常をどうしてこんなにもドラマティックに仕立てられるのか、改めてその筆力に脱帽です。なんせ本作はとにかく【ハンバーグ】の記述が素晴らしく、読んでいてずっと生唾&よだれがノンストップでした(下品ですみません)。名作『キッチン』の【かつ丼】シーンに匹敵するくらい今作の主役は【ハンバーグ】でしたね。2015/12/23
風眠
127
よしもとばななが描く人物は相変わらず魅力的だなぁ。人間関係もさらっと書かれているけど、よくよく考えたら、元彼と元カノが同じ店で働いていて、さらに元彼の嫁とも仲良し・・・って、かなりぐちゃぐちゃしているのにね。昼ドラチックになっていないところがすごい。命をいただくこと、命を宿すこと、命を失うこと、それでも生きていくこと、命のつながりということを、ゆるりと実感していくような読後感でした。『地獄のサラミちゃん』も読んでみたいな。2012/01/11
ひろちゃん
120
両親から受け継いで働くステーキ&ハンバーグ店「ジュージュー」で働くちょっと変わった人を取り巻く物語。「悲しいお話」にもかかわらず、よしもとばななさんの感性に惹かれていました。このお話、私には悲しいと思えなかったな2015/11/09
onions55
73
下町のハンバーグ店を舞台に、ミツコと家族を中心とした話。小さいながらも、強くしっかりとした人間関係が心地よいです。過去は上書きすればよいと言ったミツコの父に、懐の深さを感じました。登場人物すべてに共通しているのは、気持ちの良い肯定感。なにがあろうと、肯定できる人は強いです。2015/01/06
Mumiu
70
タイトルからは肉汁の香りが馥郁としてくるが、喪失をかかえながら再生していく物語。進一とみっちゃんがどうなるかと思ったが、夕子に救われ、ジュージュー(彼らのステーキハウスの名前です)でのかけがえのない一員同士として、「なんとか」やっている。ビル建設の時もそれほど動じずに毎日を過ごしている。ママの牛の置物に手を合わせるシーンがいい。そして自分たちも命が終わったら、この大地の糧になっていくという感覚がすきだ。貪欲に、でも欲張りすぎずに、ていねいに生きていきたいと思う。2015/05/16