出版社内容情報
西欧の源流に聳え立つ「知」の巨人,キケロー.カエサル,ポンペイウスらとともに共和政末期ローマの現実を激しく生きた,その生から紡ぎ出された著作の数々は,実践人をも惹きつけた尽きせぬ巨大な遺産にほかならない.主要著作を厳選,収録した本選集によって,知られざるローマの巨人の全貌が,ここに初めて開示される.
目次
トゥスクルム荘対談集
感想・レビュー
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buuupuuu
14
古代の哲学は幸福について論じるが、本書では特に人生におけるネガティブなものに焦点が当てられる。死、肉体に発する苦痛、苦悩やその他の情念。こういったもの等にまつわるネガティブなものは理性によって乗り越えられるのだと論じられる。ヘレニズムは、グローバル化によって共同体意識が弱まり、個人の苦悩について語られた時代だと言われる。キケロはローマの人だが、この時期、政治的には失脚しており、プライベートでも離婚や娘の死などの不幸に見舞われ、逆境と言える状況にあった。賢者の生を論じながら、弱音が垣間見える場面がある。2022/07/26