出版社内容情報
吉野作造の政治思想は,複数政党制の確立と脱植民地化,国内民主主義と国際民主主義とを不可分とした点で他に類を見ず,今日の課題につながる先見性を示している.初めて公開される幻の吉野日記を加えて,その全体像に迫る.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
1
吉野作造はヘーゲルの影響を受けたとは言え、その政治観は英米系であり、その教養も実証的である。文体も口語体に近くわかりやすい。だから、むずかしくないと思想じゃないと考える人からはバカにされるのであるが、決して哲学を欠いているわけではない。むしろ、わざとむずかしく書いてだまくらかそうとする似非哲学に反抗する哲学なのである。反知性主義的と呼ぶとちょっと誤解を生みそうだが、柳田国男や長谷川如是閑に近い感覚の「明治人」である。ただ、それゆえに、一世を風靡した吉野の民本主義は、すぐに時代遅れとされてしまうのでもある。2018/05/18
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