内容説明
冬の花を詠んだ古今の名歌を、華麗な植物画とともにひもとく珠玉のエッセイ集。
目次
八手
蝋梅
万作
水仙
帰花
冬薔薇
山茶花
枯蓮
寒菊
枯芒〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
139
フランス文学のご専門でありながら結構植物の好きな杉本先生の様々な花に対するエッセイ集です。四季に分けていて、これは冬の花の本ですが、非常にカラフルな絵を挿入されています。昔の画家などの絵と文章がうまく待ちいしている気がします。ほかの季節の本も読みたくなりました。2016/03/12
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
92
植物栽培の実用に資する『農事暦』の対極に位置する『無用の花暦』として著したシリーズ。和歌や川柳、外国の詩などに詠まれた冬の植物を、江戸時代の本草家による写生画と共に収録した学術的なエッセイ集。【彼尾花水なき川の広さかな】(枯れすすき/正岡子規)。【おお、こんなに白くてこんなにつめたい、ぼくの大事なマルグリット】(マーガレット/ボードレール)。【何故にまた冬の宿木のことなど思ふのか。(中略)そしてわたしの恋人はとうの昔、ひとの妻になってしまった】(宿り木/伊東静雄)。冬の花々が描かれる風景はどこか哀しい。2016/02/24
クラムボン
11
春・夏・秋と続き最後が「冬編」。「花ごよみ」の題名は、まえがきの暦の話と繋がっている。旧暦では3年に1回は閏月を設けるので、年の明けぬ内に立春が来るそうだ。そして古今集巻首の在原元方「年のうちに春は来にけり一とせを/こぞとや言はむ今年とや言はむ」 この一首は明治の子規、大正の和辻、昭和の茂吉に《理屈に堕した愚にもつかぬ歌》と決めつけられた。ただ著者は珍しさを詠んだのでは無く、歌詠む人々の心地悪さを、暦の上でも春と新年が出揃う日を待つ心を歌ったと言う。…そうだと思う。逆に近代歌人の方が杓子定規ですね。2023/01/29
belle
5
花ごよみ、冬の部。立春とはいえ寒さに震える日の読書。購入は昨秋の神保町ブックフェアで。江戸時代の瀟洒かつ美しい花の絵が並ぶ。もちろん杉本さんならではの古今東西の詩歌や文の引用も楽しめる。春の部を読む日が待ち遠しい。2018/02/04
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