出版社内容情報
ソフィストとは何か,政治家とは何かをこの両篇は主題とする.ともに分割法に従って完全な定義に至ろうとする対話の過程で,『パルメニデス』以来提出されたイデア論への論理的・認識論的な検討が基本課題とされる重要著作.
目次
ソピステス
ポリティコス(政治家)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんすけ
16
『ソピステス』はハイデガーがその主著(らしきもの)に引用したことで多くに知られている。たしかにその(一方的にも観られる)ディスカッションには、〈存在〉が登場する。しかしそこにいたる前に本書の主要目的が、明らかにされている。それは、「知識人を装う詐欺師ソフィストに騙されないためにはどうすべきか」ということだ。ソフィストとは現代では、ニュース解説番組などに登場する解説者の類を想像すれば間違いない。 2024/11/12
Gokkey
8
ソピステスもポリティコスもこれが初読。両者ともいわゆる後期著作としてカテゴライズされる。何かテーマを設け、問答法により無駄をなくし、(脱線的なプチ論考を挟みつつ)「それ自体」への到達を目指すいつもの展開。ソピステスにおいて初めてテーマの分割が行われる点に着目したい。例えば知識は行動に密着した知識(アリストテレスで言う実践知)と純知的知識に分けられ、さらに実践知は…という形でより系統的に論考が展開される。一方でこの考え方はイデアの階層的性格を晒し出す。さて、あるのかあらぬのか。次巻のパルメニデスへ続く。2022/09/12
いとう・しんご singoito2
7
「ソピステス」と「ポリティコス(政治家)」収録。解説によると大著「国家」の後を受けた「パルメニデス」がプラトンの大きな転回点となったとのこと。その後を受けて「テアイテトス」と本書2著が続き物となり、掉尾を飾る「哲学者」は擱筆されたらしい。「ソピステス」では、ソフィストを人間の錯誤に陥りやすさを悪用した詐欺師と決めつけている。また、「ポリティコス」は国家統治を医術のような技術と位置づけ、その能力を有する者が超法規的に国民の福祉と負担の水準を決定し、優秀な子供を残して英才教育を施す一方、→2024/05/08
てれまこし
6
今日では哲学の存在は自明なものとされる。だって、哲学者がいるし、哲学の本があるし、哲学科が大学にある。これらに共通のものを経験的に観察し総合すれば、「哲学」が何たるかがわかる。哲学をこれから作ろうという者にこの道は閉ざされている。ソフィストとも政治家とも違う哲学者はどうやって発見されるのか。プラトンは自然秩序全体の中で、これらの人々が占める位置を示すことによって、哲学者を他の二者から分けた。結果として生まれた哲学は、全体の知識、すべての知識を統べる知識となり、人間たちを自然秩序に従わせる政治術と結びついた2019/05/04
T.Y.
3
哲学者ソクラテスは後景に引っ込み、もっぱらエレアからの客人が語る対話篇2本。それぞれ「ソフィスト」と「政治家」がいかなる人間か論じられるが、それぞれの中で存在と非存在に関する長い議論や宇宙の時間逆転という壮大な神話が語られ、作品の真意を理解するのは中々に難しい。しかも結論として語られるソフィスト像は哲学者ソクラテスと重なる…これはソクラテスの語ってきた哲学者像を揺るがすのか? 政治哲学にも関わり、多くを問い質す名著。2014/04/28
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