出版社内容情報
松本 圭二[マツモト ケイジ]
著・文・その他
大野 南淀[オオノ ナンジョウ]
翻訳
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
内島菫
12
本書は、作品中で詩人が好きだと言っていたオレンジ色の装幀。それは車や炎、太陽、そして夏の色だ。そのオレンジの地に死の色じみた黒い文字で浮かぶ詩の言葉。第一詩集を超えることはできない、というより、たぶんどんな創作者も初期作品から転落してゆく過程を円熟といって(技術や衒学等で)ごまかしているに過ぎないのではないか、ということを改めて感じさせるような足掻きと諦念との捻れたエアポケット(空白)に似た詩群。第一詩集『ロング・リリイフ』の印象と何だか違うような気がして、こんな人だったっけ?と思いつつ読んだが、2022/09/18
Tom
4
自分は詩というものを解する感性を持ち合わせてない人間だと思っていたが、これはすごくよかった。多分、あまり詩っぽくない詩なんだろうけど(詩っぽい詩とは)。夢中で読んだ。2022/10/19
kentaro mori
2
傑作!ブコウスキーを思わせて、いやそれ以上に投げやりでやぶれかぶれな、しかしだがらこそ心揺さぶられて泣けてくる。●バロン/バロ坊よ/この夏はうんざりだった/おまえはどうだい?/人間はみんな口をなくして/ボウフラのようにふらふら漂っている/秋は本当に来るのか/おまえは秋まで生きていられるかい?/停滞する時間ってあるんだな/死の隣に/ヒトゴミのなかに/想像力の敗北が横たわっているようだ/おれは、/もういいよ●ニンゲンに救いがあるなんて思わないほうがいい/あるのは、絶望的な句点のみ/その「。」のなかには/2023/11/18
n
0
蟹座の呪縛がここにも。すべてすべて、かっこよすぎ。〈ニンゲンは 大いなる知恵によって 沈黙をえらぶ 強いられた沈黙ではなく 自ら課した沈黙を その沈黙に質量はないのだ つまりその沈黙は物質のようには分解されない ゾンビ、バクテリア、ゴースト それ以外 宇宙の誕生に似た 大爆発の原初にいたる そんな沈黙を想像できないだろうか 詩人なら 詩人であるなら〉2025/05/12
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