内容説明
「史跡」とは記憶装置、歴史の生き証人である。
東京大空襲直後に、「墨田川に浮かぶ人間の屍の肉を、ウナギが食べているのを見た浅草に住む青年は、以後二度とウナギを食べられなくなった」という戦争体験を訊いた、気鋭の歴史研究家が東京に残る「昭和史跡」を足で読み解く。
関東大震災、二・二六事件、東京大空襲、米軍占領と戦後復興、東京オリンピック、三島事件、バブル崩壊――人々の記憶に今なお深く刻まれる昭和史の数々の「史跡」は歴史の生き証人である。
その陰に潜む庶民の苦悩と歴史の深層を、渾身の洞察力と取材力を駆使、現場写真を収めながら掘り起こす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
4
幕末史の研究で知られる著者だが、昭和史もなかなか。寺内元帥像の台座が戦後は裸婦像に使い回された一件や、トゥーリア(バブル期に一世を風靡した高級ディスコ)跡地に佇む石地蔵の紹介など、歴史家のセンスあふれるガイドブックに仕上がっている。少し前までは昭和という時代が「歴史」になり切っておらず、あたら多くの史跡が老朽化などを理由に失われたとのこと。同時代人としてこの感覚はよく理解できるが、それだけに惜しいという気がする。2022/07/24
saba
3
一件あたりの文章が短いのでさらっと読め、その点は今読むにはちょうど良かった。読むまで事件そのものを良く知らなくて本書で最もショックだったのが渋谷暴動なのだが、まさについ先程、指名手配者の潜伏に関するニュースが。まだ終わっていないのだ。。2016/11/01
フライパン
2
現代史が身近に感じるいい本でした。2016/12/17