内容説明
神経細胞が大人になっても作られていた!衝撃の発見は研究に没頭していた著者に臨床への夢を呼び覚ます。治らない脳や脊髄を蘇らせたい。その思いがiPS細胞を使った脊髄損傷の再生治療として実現されようとしている。発見までの紆余曲折と、治療への長い道のり。この過程で培ってきた技術と絆を礎に、中枢神経系再生の構想はさらに大きく広がっていく。
目次
1 脳は蘇らないのか
2 鍵を握る神経幹細胞
3 細胞移植で蘇らせる
4 脊髄損傷治療への道のり
5 車椅子から歩き出せ!
6 だれもやっていないことを求めて
7 神経再生への広がり
著者等紹介
岡野栄之[オカノヒデユキ]
1959年生まれ。1983年慶應義塾大学医学部卒業。医学博士。慶應義塾大学医学部生理学教室助手、大阪大学蛋白質研究所助手、東京大学医科学研究所助手、筑波大学基礎医学系分子神経生物学教授、大阪大学医学部神経機能解剖学研究部教授を経て、2001年から慶應義塾大学医学部生理学教室教授。2015年から慶應義塾大学医学部長。専門は分子神経生物学、発生生物学、再生医学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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calaf
8
脊髄損傷の再生治療研究の最前線の解説。その後に著者の研究経歴も書かれており、現在の研究への関与(これまでの研究進行経緯)も書かれています。iPS細胞の応用で最先端を行く重要なものの一つ。ここまで来ているのか...と思うと同時に、まだまだ先は長そう...という感じも。2016/09/10
haru
2
「損傷した中枢神経系の細胞は再生しない」というカハールのドグマから約1世紀。研究が進み中枢神経系を再生できる可能性が書かれています。実際にいくつかのバイオベンチャーで期待できる結果が出てきています。脊髄損傷や脳梗塞といった治療法のない分野に再生医療が大きな役割を果たすことを願ってやみません。2018/12/13
monado
1
神経系の再生にいどむ最先端医療の概説書。 専門用語が飛び交うので、メカニズムの雰囲気を味わうという感じではあるものの、確実に進んでいることがわかりワクワクさせられる。2024/01/31
takao
1
・脊髄損傷を治す 2019/12/23
kgbu
1
長年、神経は損傷したら回復しないとされてきた。脳細胞も復活は難しいとされてきた。 それは現象としては正しい面もあるが、細胞の再生や分化のメカニズムそのものが精密にわかるにつれて突破口が見えてきた。 著者は長年の研究の経験から、神経系の細胞の再生の起点となる幹細胞の存在を突き止め、それをiPS細胞をもとに増やして使うことや、損傷とその回復のフェーズにあわせて投入し、リハビリで定着する方法を工夫してきた。今、その成果への期待が高まっている。 関連した話題としてパーキンソン病への取り組みも紹介されていた。2017/04/28