岩波現代全書
俳人井月―幕末維新 風狂に死す

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  • サイズ B6判/ページ数 296p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000291590
  • NDC分類 911.35
  • Cコード C0392

内容説明

何處やらに寉の聲きく霞かな―明治二〇年、信州伊那で果てた放浪俳人・井月。井月は幕末維新の乱世を、酒の入った瓢箪と杖以外は生涯無一物に徹して、芭蕉を崇拝し、風狂に生き、風狂に死んだ。その生い立ちはいかなるものだったのか?どこから来て、どのような生活をしていたのか?戊辰戦争や明治維新の荒波にどう身を処してきたのか?野垂れ死にした「ほかいびと」の歴史的真実、風狂に生き、風狂に死んだ俳諧師の文学的真実に迫る。

目次

序章 井月風狂に死す
第1章 ほかいびと井月―放浪の系譜(放浪の系譜;瓢箪と杖―空也 ほか)
第2章 井月の句の世界(ほかいびと―寿ぎの歌・悲しみの歌;井月の句の世界 ほか)
第3章 井月の俳論―雅と俗と月並(挨拶と月並;雅と俗―井月は俳句をどう考えていたのか?)
第4章 伊那の井月(放浪の俳人井月の境涯;伊那気質と風土を巡る ほか)
第5章 井月の出自と思想を探る(長岡で井月を追う;幕末の俳人たち ほか)
第6章 水戸の尊王思想と井月(水戸に井月を追う;水戸天狗党 ほか)
第7章 二人の亡命者―井月と霞松(それぞれの亡命者;二人の沈黙 ほか)
第8章 井月と伊那の夜明け前(裏切られた明治維新;井月と秩父困民党)
終章 井月の死

著者等紹介

北村皆雄[キタムラミナオ]
1942年長野県伊那市生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒。映画監督。映像人類学・民俗学を標榜してアジアをフィールドに作品を作る。早稲田大学琉球・沖縄研究所招聘研究員、立正大学講師。井上井月顕彰会理事、ヴィジュアルフォークロア代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

bouhito

5
ほかいびと井月は、伊那谷の中で祝い事があるたびその家に出かけお祝いの句を読み上げる一種の芸人だった。それだけでなく、本書は井月の出自を丹念に追う中で、若き日の井月が勤王派の志士であったことを明らかにする。それは、井月もまた近代文士にありがちな挫折した政治青年であったことの証左である。2015/07/15

塩崎ツトム

2
つげ義春「無能の人」にもその半生が描かれる漂泊の俳人・井上井月の研究本。研究本といってもやっぱりわからないことだらけなので推測に推測を重ねるのは致しかたなし。自分は「親の敵」レヴェルで旅行というものが大嫌いなんだけど、それと矛盾する形で放浪人というものにあこがれがある。……だけど井月の生涯はどうも時流への乗り損ねという景色がする。「無能の人」に「長岡の出身」と書かれていた時点で「ん?」とは思ったけれど。2015/05/12

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