出版社内容情報
飛鳥の地から難波宮、そして日本の「古都」として今も親しまれる平城京、平安京へ。古代国家の中心たる「都」は、なぜ動き続けたのか? 各都城の発掘を手がけたエキスパートが集結、都の実態や移り変わりを丁寧に追う。
内容説明
飛鳥の地から難波京、さらに日本の「古都」として今も親しまれる平城京、平安京へ。古代国家の中心たる「都」が移動を繰り返したのは、そして平安京以降動かなくなったのは、なぜだったのか?各都城の発掘を実際に手がけたエキスパートが集結。世界的にも例をみない充実した考古学的成果に、木簡や史書などの史料を重ね合わせつつ、都の実態や移り変わりを丁寧に追う。
目次
“古代の都”への招待
躍動する飛鳥時代の都
平城京を探る
長岡京から平安京へ
百済・新羅からみた倭国の都城
座談会 いま“都城研究”から何が見えるか
著者等紹介
吉村武彦[ヨシムラタケヒコ]
1945年生。明治大学名誉教授。日本古代史
吉川真司[ヨシカワシンジ]
1960年生。京都大学教授。日本古代史
川尻秋生[カワジリアキオ]
1961年生。早稲田大学教授。日本古代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月をみるもの
20
こないだ橿原に行って、藤原京があんなにでかい都市だったということを初めて認識した。難波宮も、それまで飛鳥にあった掘っ立て小屋++ くらいの王宮に比べれば圧倒的な規模だったはずだ。中国に三百年ぶりに復活した隋唐帝国の文明に触れ、都市という人工的な環境が、律令(文字に書かれた法律)とそれを実行する官僚ともに、この国に顕れる。2020/01/13
かんがく
17
タイトル通り、飛鳥、難波、藤原、平城、長岡、平安とそれぞれの都の専門家が、考古学と文献史学の双方から、都の特徴や動いた理由について説明。地図も豊富で、立地や構造からどのような意図をもって作られた都なのかが理解できた。中国への意識、伝統(大王)と先進(仏教)のバランス、征夷、皇統など都を媒介にして古代史が見えてくる。同じシリーズの別巻も読もうと思った。2020/03/04
紫草
9
再読。注がたくさんついていて、それも脚注っていうのかな?同じページの下にあるので、すごくわかりやすい。注読むのに後ろの方までページめくったり、あと、章ごとについてるのだと注どこ?った探したりするの、めんどうで嫌なんですけど、この本はとても読みやすいです。孝徳天皇の難波宮って、途中でみんな(中大兄皇子とか)が天皇を置いて飛鳥に帰っちゃったりしてイマイチなイメージだったけど、画期となるような重要な都だったのか。2022/10/12
chang_ume
9
王権が都城を造り続けた古代前期は、たしかに「特異点」ともいえる時代で、だからこそ画期設定によって都城を通じた特徴が浮かび上がる。内裏前殿・朝堂院・官衙群を用意した前期難波宮。さらに都市建設にヴィスタ重視の劇場性を導入した平城京。一方で、矛盾に満ちた長岡京からは、前代からの直線的な発展を見出しにくい。朝鮮半島からは、新羅王京(慶州)の事例が刺激的。ちなみに古代都城が我々に残したものは、「方格地割」がひとつ有力と思う。それは各地に中世守護所を生み、近世城下町から近現代へとつながる都市計画の基本原理になったか。2020/06/17
アメヲトコ
9
2019年刊。飛鳥・平城京・長岡京から平安京まで、古代の都がなぜたびたび移動したのかを最新の発掘成果をもとに叙述した一冊です。平城京のヴィスタ論や長岡京と継体王朝の関係など刺激的な論考が多く、イメージに再検討を迫られます。百済・新羅の王都に関する論考も新鮮でしたが、こちらはあまり馴染みがないのでもう少しわかりやすい図が欲しかった気も。2020/05/24