水と日本人

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  • サイズ B6判/ページ数 272p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000248648
  • NDC分類 518.1
  • Cコード C0036

出版社内容情報

私たちの伝統的な水利用のかたちとはどのようなものであったか.公共空間としての水場にはどのような文化が生まれてきたか.「うまい水」を飲んで暮らしていくという共通の利益のために,先人達が経験から得てきた知恵を振り返って手がかりとしながら,今,直面している課題について生活実態に沿った解決策を模索していく.

内容説明

本書は、日本人が水について直面している課題の解決の手がかりを先人たちの知恵から探る。そこに創造性を見出して、それぞれの地域の生活の実態に根ざした方策を考えようとしている。「衛生的でまずい水」ではなく、「健康的でうまい水」を飲みながら暮らしていくためにはどうすれば良いか?「水の有機農業」「里川」「コモンズ」「ローカル・ルール」といった著者ならではの視点から、私たちがこれから進むべき方向性を論じる。

目次

第1章 上水道を選ばない生活から見えるもの
第2章 伝統的水利用のかたち
第3章 水の神と人とのコミュニケーション
第4章 湧き水と共に暮らす意味
第5章 水場の公園化
第6章 水辺のコミュニティの暮らし
第7章 水の景観と観光
第8章 水をきれいにするとはどういうことか―里川から考える

著者等紹介

鳥越皓之[トリゴエヒロユキ]
1944年沖縄県生まれ。関西学院大学社会学部教授、筑波大学大学院人文社会科学研究科教授を経て、早稲田大学人間科学学術院教授。大学では環境社会学と環境民俗学を講じている。行政や住民の人たちと、環境やコミュニティ、まちづくりなどについて方策を協議することが多い。著書に『地域自治会の研究』(ミネルヴァ書房、第3回福武直賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

2
水を汚したのは人間である(ⅴページ)。人間が他種に迷惑となっている。日本の水政策は貧困(ⅷページ)。コモンズとは共同利用資源(32ページ)。ローカル・ルールとは、人間関係の良好さを担保する役割がある(50ページ~)。互酬性に依存(59ページ)。民俗学ゆえに洗い場で生活行動が見えるとわかる。英国のピクチャレスクの自然観も議論されている。優しい自然、湖水地方(197ページ)。地域資本の概念は重要。評者は福一原発で汚染水垂れ流しの国際法違反の罪を重くみているので、水が時に癒し、時に牙を向く両義性に注意した次第。2012/12/27

Tatsuya Hirose

1
【水と日本人】 大学院・指導教授の師匠の方の本。 集落は水と関わりながら生まれ持続してきた(いや、持続している…)。地域の暮らし・あり方にとって「人と水との関わり」はファームウェア的に大切な「基盤」なのだということをジワジワ教えてくれる内容。地域に対してできることを考える際に「お金を回す」「人口増やす」「観光客増やす」などの切り口だけでは足りないんだろうなということも考えさせられる。終盤で著者が何度か書いている「人間は水を使わざるを得ない。だが、使うと水は汚れる」という一文が妙に記憶に残る。2022/08/06

Nさん

1
「水」に対する人々の在り方を考える一冊。現代の水場は、便利で安全という近代の機能合理性追求によって、味気のないものに変わってしまった。著者は地域の実践から元気な水場を考える。我々が根底から考え直すべきは、自然を克服すべき敵と見なす考えかもしれない。水への関心=水との距離。これが広がれば、技術で何とかカバーしようと不自然なやり方を選んでしまう。水が「みんなのもの」だった頃の「在り方」に、人々と水との関わり・距離を近づける秘訣がある。それを政策のフィロソフィーにする!水利用を−ではなく+で捉える考えが面白い。2019/02/25

firebaggio

0
伝統的な水利用と上水道システムの比較、水場のコミュニティの場としての利用、公園化がうまくいっていないこと、観光への活用について考えることができた。「湧き水やカワや井戸などの水利用を大切にして、上水道システムを相対化する地方自治体が生まれること。」これは防災、教育、コミュニティ、全ての社会的問題を解決する可能性のある施策であると感じた。2014/07/24

yu01

0
日本の水利用の問題として、"井戸・湧水の利用がなくなる⇔水質悪化⇔上水道に頼る →コミュニティを育む土壌が減る"というような因果ループを著者は想定している。そして、「共同利用」が水文化を育んできた、と歴史的に検討し、事例を提示している。この本の役割は、あくまで方向性を示すという感じ。日本の水文化をまとめた本として有益だった。ただ、成功事例はすべて小規模であり、実際に上水道を相対化して運営するには、今の逼迫した上水道経営を考えると途方もなく感じる。2012/08/22

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