出版社内容情報
写真技術を創作の核心に据えるプルースト.その生涯を遡り,『失われた時を求めて』の具体相に深く分け入り,20世紀の認識論にまで筆を及ぼす.有無を言わせぬ強い説得力をもつ卓越した写真家による画期的な芸術論!
内容説明
まだ誕生したばかりの新しいメディアであった写真。カメラという機器の可能性を追究し、その機能を方法化して文学創造の核心に据えるプルースト。ブラッサイは、写真文化の草創期を生きたプルーストの生涯を溯り、当時の興味深い写真文化の場面を紹介し、ついで『失われた時を求めて』のテクストの具体相に深くその身を浸し論じる。その視野は相対性論や二〇世紀の認識論にまで広げられてゆく。本書は、卓越した写真家ならではの有無を言わせぬ説得力を持つプルースト論にして秀抜な芸術論である。
目次
1 プルーストの生活における写真(情熱の誕生;写真の交換;プルーストの芸術形成における写真の役割)
2 『時を求めて』の鍵(マルタ騎士団の巨大な写真;ラ・ベルマのポートレート;夫の心をとりもどすためジルベルトは夫の恋人の写真を手に入れる ほか)
3 プルーストの思考への写真の影響(写真家のスタジオ;ルポルタージュ;ズームレンズ ほか)
著者等紹介
ブラッサイ[Brassa¨i]
1899-1984。本名ジュラ・ハラース。現ルーマニア領トランシルヴァニア地方のブラッショー生まれ。当初、ベルリンそしてパリで美術を学ぶ。日々の糧を得ていた政治新聞の特派員の仕事の必要上、写真とのかかわりを持ち、31歳で自覚的な写真家となる。1932年、33歳でブラッサイを名乗り、写真集『夜のパリ』を出版。以後、パリを撮り続けて、「パリの目」と呼ばれる。その作品の持つ記録性と神秘性が分かち難く結び付いた、詩的でリリカルな世界は周知のとおりである。ヘンリー・ミラー、プレヴェール、ピカソ、ジャコメッティ兄弟など多くのジャンルの芸術家たちと親しい交わりを持った。邦訳の著書に、写真集『夜のパリ』『未知のパリ・深夜のパリ』(いずれも飯島耕一訳)、評論『語るピカソ』(大岡信・飯島耕一訳)『作家の誕生、ヘンリー・ミラー』(飯島耕一・釜山健訳)がある
上田睦子[ウエダムツコ]
1930年生まれ。東京都立大学人文学部仏文科修士課程修了。ボードレールを専攻。青山学院大学、日本女子大学などで教鞭をとる。俳句結社『寒雷』同人。訳書に『10代の子を持つ親の本』『1848年』(いずれも共訳)
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感想・レビュー
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夜間飛行
兎乃
dilettante_k
子音はC 母音はA
noémi