出版社内容情報
急速なグローバル化が進展するなか,一国史的,地域史的な枠組みを脱して,人間の歴史を世界大,地球大で捉える歴史研究が注目を集めている.それは従来の歴史学と方法論的にどう異なるのか.いかなる理論とナラティヴを特徴とするのか.グランドスケールの歴史叙述を広く見
内容説明
急速なグローバル化が進展するなか、一国史的、地域史的な枠組みを脱して、人間の歴史を世界大、地球大で捉える歴史研究が注目を集めている。それは従来の歴史学と方法論的にどう異なるのか。いかなる理論とナラティヴを特徴とするのか。グランドスケールの歴史叙述を広く見渡しながら、新たな歴史ジャンルの特色をユニークな観点から浮き彫りにする待望の入門書。
目次
第1章 大きな物語への衝動
第2章 発散
第3章 収斂
第4章 伝染
第5章 システム
第6章 グローバル・ヒストリーの現在
著者等紹介
クロスリー,パミラ・カイル[クロスリー,パミラカイル][Crossley,Pamela Kyle]
1955年生。近代中国史(清朝史)。現在、ダートマス・カレッジ教授
佐藤彰一[サトウショウイチ]
1945年生。早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得。フランス初期中世史。現在、名古屋大学高等研究院特任教授。日本学士院会員。フランス学士院連携会員(AIBL)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
19
2008年初出。グローバル・ヒストリー(GH)の史家は地域史家が提供できないものを提供、逆もしかり(4頁)。ほとんどの文化は事実の探究から物語の紡ぎ出しをたどり、普遍的規模で語ろうという衝動がある(8頁)。マンデヴィルは旅行をかなりした。旅以上に読書をした(38頁)。オーストラリアリス・グループで著名なのはG・E・スミスで、『諸文化の移動』1915年の中で、すべての文化は唯一の文化を起源とし、古代エジプトであるとした (51頁)。H・G・ウェルズは革新や変化や進歩はつねに周縁から発するとした(53頁)。 2014/09/22
Joao do Couto
3
訳文に慣れなかったです。最後まで主張が伝わってきませんでした。伝播、収れん、システムから世界を論じる方法があるのはわかりましたが…2013/08/04
シルトラマンタロウ
0
卒論を書いてる時からずっと気になってた「グローバル・ヒストリー」。やっと読むことができた…できる限り中心を持たないように世界史を叙述する方法ってことかな。よりマクロスケールな歴史ってイメージ。ヨーロッパ中心史観に陥りがちな「世界史」という学問を見直すきっかけとして、とても意義のある本だった気がする。世界史の教職課程を履修していることもあって、学校教育における世界史の有り方についても少し考えさせられた。マルクス主義についても盛んに述べられていたけど、マルクスさんの残した根は深いものですね…恐るべし唯物史観。2015/01/17
葉
0
グローバルな物語を最初に語った人々は、人類の発展の理解に関して核酸を基本概念としている。人類が時間と空間のある一転で世界を覆うように広がっていったと考えている。マルコポーロやアタナシウスキルヒャーなどの研究者における歴史と文化などについて述べられている。また、マルクスとエンゲルスの思想については世界のいたるところで改変され、経済学や心理学、生物学、法律学などの学問分野で応用されている。マルクスは封建制における奴隷時代からの直接的な発展について書かれている。2014/11/25
モンタニャールおじさん
0
タイトルから想像される内容とは少し違うため、興味深い。グローバル・ヒストリー論というよりも一般史学論といったほうが適切か。歴史家の思考パターンを類型化し、近年の歴史学だけでなく非ヨーロッパ圏の歴史家(イブン・ハルドゥーンなど)も取り上げているという点で、「グローバルな史学論」といった趣の内容に仕上がっている。2018/01/30